▽ ページ12
「ジェシー大丈夫か？」
「樹、なんだよ急に。大丈夫だけどさ」
電話の相手は高校時代からの親友樹だった。
Aを振り向かせるために必死に協力してくれた1人。
「その、、、。聞いてない？」
急に歯切れの悪くなった樹の声に一気に不安が支配した。
「何のこと？」
樹は、しばらく声を発することなく沈黙が続いたけれど、急かすことはできなかった。
事の重大さに気づいてしまったから。
「・・・・・・・・・・・・・Aが、
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
Aが、亡 く な っ た っ て。」
俺の時間が止まった。
樹は今日葬儀が行われることを教えてくれた。
俺は会場に向かうことにした。
嘘であってくれ。
樹の度がすぎたイタズラであってくれてって思ったりしながら。
それはきっと信じたくて受け入れられないからだ。
でも、斎場に着けばそこには、
俺とドライブで海に行ったときの遺影が飾られていた。
高校時代の友人も既に集まっていた。
「ジェシー・・・」
目を赤らめた樹がいた。
俺も樹を見た瞬間涙が零れてきた。
樹は背中を摩ってくれた。
「ジェシー、久しぶり。」
顔を上げれば、看護師になったという北斗の姿。
「これ、Aちゃんから預かった。」
ジェシーくんへ。とAの文字で書かれていた。
俺は、北斗が差し出す封筒に手を伸ばした。
「俺の勤める病院に入院してて、頼まれてたんだ。」
「入院・・・・。いつから？」
「1年前くらいからかな。」
「え・・・それってジェシーたちが別れた時期じゃん。」
樹が言う通りだった。
「ずっと治療頑張ってたよ。俺が様子を見に行くと、高校の時の話し楽しそうにしたり、
症状が酷い時は、うわ言のようにジェシーの名前呼んでた。
だから俺、ジェシーにこのこと伝えようって、何度もAちゃんに言ったよ。でも絶対ダメって。
ジェシーくんに幸せになって欲しいし、こんな姿ジェシーくんに見られたくない。って言ってた。
それでも俺、ジェシーに黙ってるのは限界でジェシーに伝えようって思っていたら、急に症状が悪化して、、、。ごめん、ジェシー。」
北斗は頭を下げて、涙を零している。
「北斗が謝ることじゃない。Aも悪くない。俺が悪いんだ。」
「ジェシー・・・自分を責めんなよ。ジェシーも悪くねえよ。」
樹はそう言ってくれたけれど、後悔の波が押し寄せてくる。2人で見た海の景色とは違う大きな荒波。
「だって、俺・・・Aのこと分かってやれなかった。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わん(プロフ) - 滴さん» 細かい所まで読んで頂きありがとうございます。 (2021年2月17日 21時) (
レス) id: 9bd4ec93f8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読みました。 沢山のいやほとんどの直しを言ってしまいすみませんでした｡｡｡ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 黒×紅一点×貧血ページ50のここの部分 「ほっくん開けて。」なんてペットボトルを差し出し、珍しく甘えくる○○←名前 これてが抜けてませんか? 正しくは甘えてくるではないんでしょうか？ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 黒×紅一点×貧血ページ49のここの部分 目いつぱいに涙を貯めて、ちょっと瞬きしたら零れてしまうほど。 これ正しくは目いっぱいに涙をではないんでしょうか？ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 黒×紅一点×貧血のここの部分 「おはよー」って、言ってくれるだけで様子がおかしいのは明らか。 これ正しくは言ってくるだけでではないんでしょうか？ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピ | 作成日時：2021年1月17日 20時
