▽ ページ48
「ごめん。」
松村くんは視線を外してそう言った。
違う。って言いたいのに声が出なくて、松村くんのスーツの裾を摘んだ。
松村くんの目線は私に移る。
私は首を横に振って、違うよの気持ちを込めれば、頭をポンと１回優しく撫でてくれた。
「森さんさ、弱さも見せて大丈夫。
まずは俺のこと頼ってよ。弱さを見せることも強さの1部だと思うよ。
特に強がりさんはね？」
結局そのまま家まで送ってくれた。
「声が出ないんじゃ、暗い道は危ないから。」って。
それから、商談の日を迎えた。
当日はもともと裏方作業だったから、みんなにも迷惑を掛けずに済んでホットした。
商談も無事に取引して頂けることになり、今日はチームのみんなで飲み会だけど、声も出ない私は気を遣われてしまうと思い、欠席することにした。
飲み会へ向かうみんなを見送ってから帰ることにした。
「俺たちも行こうか」
声の主は松村くん。あの日から欠かさず私を家まで送ってくれていた。
慌てて、メモを取り出して〖飲み会行かないの？〗
と聞けば、
「俺は大勢での飲み会好きじゃない。
俺らだけでプチ打ち上げする？」
って、歯を見せて笑ってる。
良いよ。の気持ちを込めて大きく頷けば
さらにクシャと笑ってくれた。
連れてきてくれたのは、夜景が見渡せる小さな丘で、途中でコンビニで買った缶ビールで乾杯した。
居酒屋や、レストランじゃなくて開放的で心が軽くなり、遠くまで広がる景色に感動した。
スマホを取り出して、「キレイ」と打ち見せれば、
「俺、仕事で失敗したり、躓いたり、上手くいかない時ここに来るんだ。ちょっと楽になる。」
しばらく、夜景に見とれていて静かな時間が流れた。
「付き合って欲しいって言ったらイヤかな？
こんな状況で悩み増やしちゃって申し訳ないけど、
俺の気持ちだから考えて欲しい。」
スマホで文字を打つ。
〖私は、松村くんのこと気になってる。
私でよかったら付き合ってほしいです。〗
何となく好きとは言えなかった。
「ありがとう」って気づいたら松村くんの腕の中。
「あ、ごめん。」ってその腕からすぐに解放されてしまうから、自分から松村くんの腕の中に入った。
「ふふ。ありがとうA」
・
・
・
松村くんとお付き合いを始めてから、
仕事も私が抱え切れなくなる前に松村くんがサポートしてくれるようになった。
そして１ヶ月経つ頃、
「北斗くん、おはよ！」
私の声は戻ってきた。
fin...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わん(プロフ) - 滴さん» 細かい所まで読んで頂きありがとうございます。 (2021年2月17日 21時) (
レス) id: 9bd4ec93f8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読みました。 沢山のいやほとんどの直しを言ってしまいすみませんでした｡｡｡ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 黒×紅一点×貧血ページ50のここの部分 「ほっくん開けて。」なんてペットボトルを差し出し、珍しく甘えくる○○←名前 これてが抜けてませんか? 正しくは甘えてくるではないんでしょうか？ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 黒×紅一点×貧血ページ49のここの部分 目いつぱいに涙を貯めて、ちょっと瞬きしたら零れてしまうほど。 これ正しくは目いっぱいに涙をではないんでしょうか？ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
滴 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 黒×紅一点×貧血のここの部分 「おはよー」って、言ってくれるだけで様子がおかしいのは明らか。 これ正しくは言ってくるだけでではないんでしょうか？ (2021年2月17日 13時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピ | 作成日時：2021年1月17日 20時
