快刀乱麻を断て！！弐 【鬼滅の刃】【浦島坂田船】

＊ ページ46

まーしいが指摘したのはこんな事だった。


「呼吸の仕方、続け方。上手く出来てない。

育手さんには教えて貰ってて、最初は上手く出来てたんだろうけど、それからろくに復習もせず、体にやり方をふわふわとした記憶のまま叩き込むだけで、ちょっと手順に本来のやり方とズレが生まれてちゃんとした力が生まれてない」

「う、うん…」

「それから焦ると体の使い方が荒くなる。足の踏み込み方、関節の使い方……
ちゃんと体は鍛えられてんのに、ここぞって言う時に使えないと意味ないよ」

「ぐあぁ…」

「あと、やっぱり反射神経、判断力、敵の接近に気づけたとしても、それを対処する体を動かす速さが足りてない。
バッ、ってに気づいた時に避けようと動くのもいいけど、きちんとした判断が出来ないと、足元をすくわれる。
そんな事今まででなかった？」

「…あ、あうぅぅ…」

「あと、坂田って走り込みとか、体づくりとかそういう全体的な所はきっちりやるし、それ以上に鍛えたりするけど、
呼吸法とか、細かい事はほっといて、あんまり気にせずにそのまんま進めるところあるよな。

坂田が持ってる力の柱の表面だけを一生懸命磨いても、中が腐ってたら意味が無い。
それで努力できてるようには表面だけは見えてしまう。

勿論、今の坂田だっていい所はあるし、長所だってある。
それを全部ひっくるめて、もっと強化するために、この際、初心に戻って見た方がいいんじゃない？」


「………ごもっともです…」


最初に思っていたことよりも、もっと深堀して、もっと観察されて返された。

まーしいが指摘をするために口を開くと、もうそこからは俺は反論なんか出来なくなってしまった。

まーしいはこちらの時代に来て、胡蝶さんに似てしまったのか、ちょっと毒舌になることが多い。

だから悪気は無いんだろうけど、ちょっと煽り口調にも聞こえてしまうが、今俺の心の中にあったのは、まーしいに対する尊敬の気持ちと、他の人から見た俺には隙しかないと言う自分の現状の苛立ちだった。




……まーしいの毒舌で傷ついた感情も少々あるけど…



「で、これを聞いて坂田はどう思ってる訳？」

俺が何も喋らないでいると、まーしいがニッとまるでこれからイタズラを仕掛ける子供のような笑顔を俺に向けた。


…どう思ってる？





弱点を克服したい。
今まで自分のことを客観的に見てないで、色々文句を言うばっかりだったから。
自分のことを見れる機会をくれたまーしいに感謝ばかりだ。

＊→←やっぱりちょっと待って。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す