*さっきの続き ページ19
「ゆっくり、少しづつ思い出していこな」
俺は志麻くんの背中をさする。
悲しみも、苦しみも、分け合いした方が苦しくなくなる。
教えてくれたのはな、そうやな、もう一人の金髪かな?こんなに当たり前のことやのにな。俺は知ってたはずだったのにな。もう一度教えてもろうた。
今度は、俺の番。
「……違和感は、あります。ここに当てはまる物が何だかずっと、探してたんです」
志麻くんが声を震わせながら、俺に話す。
「…目の前に、もうあるんです。記憶が。でも、思い出すのが怖いんです。もし、当てはまらなかったらどうしようか。自分では早く掴みたいのに、身体が拒否してる感じがするんです。思い出そうとすると、なんか苦しくなるんです。だから、あまり深く言わないでください」
「……わかった」
志麻くんの言葉に返事を返す。背中をさする手は止めないようにして。少しづつ、落ち着かせようとする。
「…でも」
ふと、志麻くんの顔が上がる。俺は顔の方に目線を向け、その言葉の続きを待つ。
志麻くんは深呼吸をし始めた。体の震えを止めようとしているのだろうか、少しづつ、ゆっくりと。
深呼吸の度に動く背中。俺はさするのをやめずにそれを見守る。
手をあてていると、やっぱりわかる。
鍛えられた体。
やっぱり志麻くんも鬼殺隊に入っとんやな。
それは、俺と同じように違和感を埋める為に入ろうとしたのだろうか。
志麻くんの体の震えがかなりおさまった。
「…ふぅ、ふぅ」
志麻くんが声を出そうと息を整え始める。
俺は背中をゆっくりさすって、志麻くんを落ち着かせる。
懸命に息をして、声を出し始めた。
「…でも、思い出したい。やっぱり怖いけど、センラさんを見て、名前を聞いて、何故かかなり安心したんです。
もしかしたら、本当に貴方が俺の記憶の中にいるかもしれない。まだ分からないけど、
貴方が本当に近くに居たなら、
それこそここで諦めたくない。ちゃんと本当の俺を知りたい」
志麻くんはそう言って、こちらを向いて笑った。少し不安そうな笑顔。それでもちゃんと信じてくれた。
ここの時代に来て、自分達があそこにいた事は当たり前じゃないことがしみじみと分かった。
あの悲惨な交通事故があって、もしかしたら俺らは死んでるかもしれん。
それでもまた俺らは会えることが出来る。
理由は分からん。でも、まだ四人で集まれるチャンスがある事は確か。
大丈夫。今度は絶対に離れない。まずは志麻くんから。
頑張ろう。
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um(プロフ) - そうですかありがとうございます! (2020年7月27日 22時) (レス) id: 00ce3b9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん 極細(プロフ) - umさん» 下のコメントの続きです。あと、私も文章能力があまり良くないので、描写などが上手く書けていない所も全然あります。そこでストーリーを勘違いさせてしまっていたらすみません!上手く言えていなくてすみません。わざわざコメントありがとうございました! (2020年7月27日 22時) (レス) id: d5543b7af3 (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん 極細(プロフ) - 違うアカウントから失礼します!(このアカウントはもう使えなくなってしまったので…中の人は同じです)ここの場合、柱合会議は歌い手様がストーリーに少し影響を与えている為、一部のキャラが協力的だったりしています。続きます。 (2020年7月27日 22時) (レス) id: d5543b7af3 (このIDを非表示/違反報告)
um(プロフ) - コメント失礼します!柱合会議の感じが違うと思うのですが………… (2020年7月27日 21時) (レス) id: 00ce3b9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
筆ペン屋さん(プロフ) - 火白.さん» 遅くなってすみません、ちゃんとレス出来ていませんでした。このコメントの下のコメントが返信です。 (2020年4月13日 12時) (レス) id: 51416204c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:筆ペン屋さん | 作成日時:2020年3月28日 1時