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N side




目が合っているようで合わない。何も映さない綺麗な蒼


オカミーよりも濃くて深くて暗いその色は、何とも形容し難い





今までこんなに綺麗なものを隠していたなんて知りもしなかった

でも、あの時に見たペルセルト達はもっと光に満ち溢れた目をしていたっけ…




前髪を避けていた手をそっと引き抜いて体を撫でる


毛がふわふわで、毛並みも整っている

指通りも凄く良い




それにしても大きいなぁ


人間が3人か4人は乗れそうだ


尾も切られたと言う割には長いから…本来なら倍以上の長さがあるのかも




実際に見て新しく知れた事を頭の中にメモしていたら、ふとAが目の前で伏せる




「?」


『…お乗りに、なるのでしょう…?』


「えっ、良いの…?」




尋ね返せば、彼女は小さく頷いた


じゃあ伏せたのは乗りやすくするため?

だとしたら、本当に優しい生物なんだなぁ…




「じゃ、じゃあ…」




言葉に甘えて彼女の背中に跨る

安定した位置に座れたと思ったら、Aがそっと立ち上がって動き出した


毛がふわふわで気持ちいい


それに、歩いている時にあまり大きな衝撃を感じない

程良い揺れ具合が心地良い




「ねぇA、この状態でも魔法を使えるって本当?」


『…まぁ、はい』


「杖が無くても?」


『…屋敷しもべと要領は同じです』


「そうなんだ」


『……』




そう思っていたら、地に落ちていた葉っぱがふわっと浮き上がって、僕の目の前で踊るように動き出す


このエリアは今のところ風なんてものは吹いていない


となると、考えられるのは1つだけ




「Aの魔法か…」




そう呟けば、まるでその言葉を肯定するように僕の方を一瞥した

そして、ふわふわ浮いていた葉っぱは事切れたように重力に逆らう事なく落ちた








.









暫くゆったりとAがトランクの中を歩けば穏やかな風が頬を撫でて、程良く暖かい陽が僕らを包む



この揺れ具合と言い、毛並みの気持ち良さと言い、暖かさと言い…

眠くなるなぁ




瞼が重くなって、意識が徐々に遠くなっていくのを感じる







気が付けば、Aの首に緩く腕を回して、凭れ掛かるように目を瞑っていた




春よりも優しく暖かいこの空間から生まれる睡魔に敵うはずがなかった








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時々雨(プロフ) - コメント失礼します。まだペルセルトちゃんの笑顔が見れてないので、いつか見れるといいなと思いました!とても気になるお話で、続きを楽しみにお待ちしてますね! (2020年11月20日 22時) (レス) id: 5e6f4aeb76 (このIDを非表示/違反報告)
Haruka Abe(プロフ) - すごく面白いです! (2019年10月16日 1時) (レス) id: a5df0a293e (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - 面白いです。文に奇想転結があって頑張ってください (2019年9月4日 3時) (レス) id: 24833da0d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年7月15日 18時

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