・〜柊side〜 ページ46
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“表舞台には出れない”
まるでそれが決められた事のように何事もなく笑うAが少し怖かった
「何で、お前はそう…」
諦めるんだ
その言葉を口に出そうと思っていたのに、思わず止まる
Aの、様子が変だ
少し耳を触りながら、じっと一点を見つめる
「A…？」
名前を呼んでも返ってこない返事に不安が募る
耳から離れた手は膝の上に置かれ
もう片方の手が袖を引っ張って手を隠す
伸びるだろ
そう言っても聞かず、返事もしない
まるで、聴こえてない
手を掴んで止めても一点から目を離さない
視線の先には
何も無いというのに
「ッ…！」
そう思って覗くと、自分でも分かるほど目を見張る
何も映さずに彷徨う瞳を見て
今までに見た事ないほど強張って無理矢理作られた笑みを見て
恐怖と不安と焦りが一気に大きく膨らむ
「A！、…Aッ！！」
肩を揺すって何度も名前を呼んでも、やはり返事はしない
キュッと固く結ばれた口は何かを耐えるように見えて、泣きそうになる
“＿こんなこと、無いと信じたいんだけど…＿”
そんな時だった
ある日に景山が言っていた事を思い出した
“＿もしも……もしも、Aが少し耳を触ってから固まったら＿”
“＿それは、少し危険かもしれない…＿”
“＿詳しくは言えないけど…きっとそのとき、Aは凄く、怖い思いをしてる＿”
…今思えば、あの時に “言えない” って言ってたな
“＿だからね？そういうときは＿”
“＿今ある、ありったけの想いと気持ちを込めて＿”
“＿名前を呼んであげて＿”
あの時、それが何の事か分からなかった
現に、名前を呼んでも聴こえてない
でも漸く理解した
その込める想いや気持ちは
もっと温かく、優しく、大きなものだ
景山のアドバイスのお陰で頭がクリアになり、体が自然と動く
一点を見つめながらも、それを見たくないと言うように、少し俯いている顔に両手を添える
それをゆっくりと持ち上げて上を向かせると、合っているようで合わない瞳
添えた手に、彷徨う瞳に
ありったけの想いと気持ちを…
愛を、込めて
「＿＿A」
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もちもち(プロフ) - ユイさん» そう言っていただけると、とても励みになります。ありがとうございます！これからも精進していきますので、よろしくお願いします。 (2019年4月14日 21時) (
レス) id: 31f6343f7f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 一気読みさせてもらいました！言葉の選び方とか全て含めて読みやすいし面白いです！ (2019年4月11日 22時) (レス) id: 40031fd2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年4月8日 23時
