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得られる情報は音声のみ
それでも、目の前にその光景が広がっているようで、顔が上げられない
みんなも不安に思ったのか少しザワつき、聞こえないと分かっていても先生?と呼び掛ける
《…ッ、あいつらの将来を、俺は、見届ける事が出来ないっ、
でもだからこそっ!
あいつらには幸せになってもらいたい…っ》
弱りながらも、先生は強く言う
幸せに、なってもらいたい…かぁ
“_お前に生きてる価値なんか…_”
じゃあ先生は、私のそれを受け入れてくれるんだろうか
そもそも、それって……
それに先生、やっぱり死んじゃうのかぁ…
《お前に…教壇に立つ資格は無いッ…!》
そう言う先生の声は、
泣いているように震えていた
《やめろ柊ッ!!》
警察が突入して来たのか、聞き覚えのある声が耳に入る
五十嵐さんが、部隊を連れて行ったんだろう
《…刑事さん、後は頼みましたよ》
そこで音声は完全に止まり
その数秒後に、やっと顔を上げることが出来た
「勝利だよね…?先生の言ってたジャッジ…
柊一颯の完全勝利だよね?」
顔を上げて見えた教室は
しんみりしているのに、何故か眩しくて
「瀬尾くんの気持ちを推し量ることなんて出来ない。
でも、きっと今こそ…明日の活力に変えるときなんじゃないかな」
真っ直ぐ伝える茅野さんも
一粒の涙を静かに零す瀬尾くんも
涙を拭いて勇気付ける魚住さんも
物凄くキラキラしていて、綺麗で…
何だか自分が、場違いに思えて仕方なかった
それと同時に
外から小さく聞こえるサイレン音と共に来る何とも言えない不安と違和感が拭えなくて
今直ぐに、この眩しくて綺麗な空間から抜け出したくなった
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もちもち(プロフ) - ユイさん» そう言っていただけると、とても励みになります。ありがとうございます!これからも精進していきますので、よろしくお願いします。 (2019年4月14日 21時) (レス) id: 31f6343f7f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 一気読みさせてもらいました!言葉の選び方とか全て含めて読みやすいし面白いです! (2019年4月11日 22時) (レス) id: 40031fd2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年4月8日 23時