・〜茅野side〜 ページ32
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その後、先生は私達を教室に戻るように指示して、Aちゃんは残るように言った
Aちゃんが一歩足を踏み出す
「っ！」
でも一瞬倒れそうに体が傾いたから反射的に手を伸ばしたけど
Aちゃんは踏ん張って、倒れることはなかった
「…手当てする」
『…大丈夫です。放っておけば、』
「大丈夫じゃないから言ってるんだ」
そんなAちゃんに先生が救急箱を片手に強めに言った
未だに頭から血を流しているのに、大丈夫な訳がない
なのにヘラヘラと笑って大丈夫だとAちゃんは言う
先生はそんな彼女に少し不機嫌そうだった
『…それだけ受け取ります。先生は少し休んでて下さい』
覚束ない足取りで遠くに転がった椅子を持ってきて先生を座らせようとしてるけど、力が入らないのか、肩を押しても先生が座らなかった
その自分の状況に困ったようにAちゃんが笑う
そして垂れそうになった血をセーターで拭う仕草をする
決して床に垂らすまいと思っているように見えた
「じゃあ茅野、頼んだ」
「えっ、？あ、はい」
『……』
先生が差し出してきた救急箱を受け取って、先生がいつの間にか用意してくれていた椅子に座る
Aちゃんもゆっくりと座るが、その後直ぐに救急箱を開けて、包帯を手に取った
「あの、私やるよ…？」
『…大丈夫。自分で出来るから、気にしないで』
「でも…」
頭だからやりづらいよ。
そう言って前髪を退かしてあげる予定だったのに
「えっ…」
Aちゃんは顔を遠ざけて私の手首を掴んだ
指や手は細いのに掴む力は結構あった
『手、汚れちゃうから良いよ』
「いや、でも…」
『大丈夫』
それから先を言わせないように被せて言った
その勢いに思わず手を引っ込めると、Aちゃんはテキパキと自分の手当てを始める
また、何も出来なかった
変に慣れている手つきで傷口を探って消毒をして包帯を巻くその一連の流れを見ているだけしか出来なかった
『…折角綺麗な手なんだから、こんなので汚しちゃだめだよ』
「……」
私のことを一度見て、フォローするようにそんなことを言った
顔に出てたのかもしれない
でもその優しさが余計に自分の無力さを感じさせる
それを全部見ていた先生は少しだけ悲しそうに、不服そうに顔を歪めていた
この空間の雰囲気に、泣きそうになった
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もちもち(プロフ) - ユイさん» そう言っていただけると、とても励みになります。ありがとうございます！これからも精進していきますので、よろしくお願いします。 (2019年4月14日 21時) (
レス) id: 31f6343f7f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 一気読みさせてもらいました！言葉の選び方とか全て含めて読みやすいし面白いです！ (2019年4月11日 22時) (レス) id: 40031fd2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年4月8日 23時
