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未だに痛みに耐えて顔を赤くしている先生の背中を摩って、もうハンカチは使い過ぎて使い物にならないから袖で拭いた
先生は首を弱く振るけど、拒否はしなかった
私ので申し訳ない気持ちがあるけど、それ以外で拭くものがなかった
「、何でこいつの味方すんだよ…ッ
可笑しいだろ！！」
「可笑しいのはお前だろ…！？
推薦取り消されるのがそんなに嫌かよ、」
「嫌に決まってんだろ…
俺にはこれしかねぇんだよ…！
やっと…
やっと掴んだチャンスなんだよッ！！」
瀬尾くんの大きな声が、嫌なくらい耳に響く
怒り。不満。不安。
ごちゃごちゃの感情を思いっきりぶつけている彼の迫力は凄まじいものだった
「その推薦者が犯罪者でも同じこと言えんのかよ…
武智は景山を追い詰めた犯人かもしれねぇんだぞッ！！
そんな奴からもらった推薦でもお前喜んで行くのかよ…？
今回はしょうがねぇだろ…」
“しょうがない”、 “お前ならまた次がある”
その言葉に顔色を変えたのは2人いた
それは、須永くんが掴んでいた瀬尾くんと
「そんな簡単に言わないでッ…」
魚住さんだった
彼女は泣きながら訴えた
3年間、部活を毎日必死に練習して努力した
でもダメだった
そんなときに武智先生に推薦の話をされて、そのチャンスに喜んで、
それなのにそれは水の泡と化した
その気持ちが分からないのに “また次がある” と無責任なことを簡単に言うな、と
…きっと、先生は悩んだだろう
先生は生徒思いの人だから、未来を潰しかねないこの選択を悩んだ
この混乱も、衝突も…承知の上だったのかもしれない
「…ッ、瀬尾。
お前のゴールは、何処だ？
スポーツ推薦で、大学に入ることか？
それとも大学を卒業しても、選手を続けることか…？」
声が、震えていた
それでも目線は真っ直ぐ。ずっと瀬尾くんに向けられていた
辛い
何度も上下する先生の背中がそう叫んでいるように思えた
「…知らねぇよ。
目の前のことにいっぱいいっぱいで…考えたこともねぇよっ」
「そっか…
お前達はそれで良い。
…だが、教師はそうはいかない」
ゆっくりと立ち上がる先生を支えるけど、少しフラついた
…まだ、大丈夫
「お前達に、頼みがある。
…俺という人間を、ジャッチしてくれないか」
全体を見渡して言う先生の背中を見つめながら、まだ垂れてくるそれを腕で拭った
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もちもち(プロフ) - ユイさん» そう言っていただけると、とても励みになります。ありがとうございます！これからも精進していきますので、よろしくお願いします。 (2019年4月14日 21時) (
レス) id: 31f6343f7f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 一気読みさせてもらいました！言葉の選び方とか全て含めて読みやすいし面白いです！ (2019年4月11日 22時) (レス) id: 40031fd2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年4月8日 23時
