・〜柊side〜 ページ28
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手を止めて上を向き、少しだけ目を閉じて景山の事を思い出すような様子を見せた
そしてゆっくりと瞼を開いて再び手を動かしながら、ぽつりぽつりと喋り出す
『景山の第一印象は、綺麗な子でした。
本当に綺麗で、眩しくて…私とは正反対だと思ってました』
「…そんな事ないだろ」
『…そう見えてるなら、それで良いです。
でも、喋ってみると印象が変わりました。先に話掛けたのはあっちなんですけどね？』
「どう、変わった…？」
『んー…
ダイアモンドで出来た鎧を着てるのに、中身は薄いガラス…いや、氷で出来ている感じです。
でもその氷の核にはもっと綺麗なものがあったんですよ』
だから、描いている絵がそんな雰囲気を出しているのか
Aが描いている景山は、微笑んでいるのに何処か儚げで
触れたら割れそうな感じで
それでいて温かく柔らかい笑みだった
未完成なのに今にも動きそうなその絵に足される色は淡くて綺麗な色
「青、多いな」
『景山、水の色が似合うから…ですかね』
水色ではなく、“水” の色
海で見るような青や空で見るような青
景山が活き活きとしていたプールのような色まで
色鮮やかなのにシンプルなこいつの絵は、やっぱり魅力的だ
『でも、景山って赤が似合うんですよ』
「へぇ」
『一回、結構濃い赤の口紅を塗ってたんですけど…』
「…どういう状況だよ」
『私にも分かりません。本人曰く塗られたらしいです。
で、彼女の肌が白いからかその赤が良く映えていて…』
何かそのまま続きを言おうとしていたけど、踏み止まったように口を噤んで、兎に角似合っていた。と言う
その色を作ってみるが納得いくものが作れないらしく、苦戦しているらしい
何を言いかけたのか聞きたい
一瞬だけ、顔が強張った理由を知りたい
…絵は、描き手の感情を表す時がある
Aの絵は確かに綺麗で、個性的で、感慨深くて、魅力的だ
高額で払っても足りないくらい
でもAが描く絵、全て
何処か寂しそうで、悲しそうで、つらそうで、苦しそうなものがある
知りたい
…気付いたら惹かれていた彼女だからこそ
何があるのかを、知りたい気持ちが湧く
それでも今聞けないのは
聞くのが何故か怖いからだ
こいつが、崩れて砕けそうで
消えて無くなりそうで
とても、怖いからだ
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もちもち(プロフ) - ユイさん» そう言っていただけると、とても励みになります。ありがとうございます！これからも精進していきますので、よろしくお願いします。 (2019年4月14日 21時) (
レス) id: 31f6343f7f (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 一気読みさせてもらいました！言葉の選び方とか全て含めて読みやすいし面白いです！ (2019年4月11日 22時) (レス) id: 40031fd2e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年4月8日 23時
