【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 3【今から皆さんは人質です】

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「はい、行ってらっしゃーい」





そんな軽快な声に兵頭くんを始めに元気な「行ってきます」が帰ってくる


一人一人に配られたのはバスタオル



先生がシャワー室を開けてくれたようだ

久々に洗えることが嬉しいのか、みんな興奮気味で外に出て行った


あの諏訪さんですら水越さんとルンルンで出て行ったくらいだから、余程嬉しいんだろう






なんか、あれだ


世に言う “青春の1ページ” みたいな感じの日



みんなキラキラしてて凄く眩しい





「お前は行かないのか？」





みんなが行く後ろ姿を見ていたら、先生が話し掛けてきた



それもそうだ。1人だけ残ってるんだから






…何て言おうかな





『あー、ほら、今行っても全員が使える訳じゃないので。私は最後で良いです』



「…本当の事、聞きたいって言ったら？」





嘘が秒でバレた


…あれだけ間が空いたら分かるよなぁ




いや、別に言っても私は気にしないんだけど、説明がかなり必要になる


それに加えて論より証拠だから実際に見せたほうが早いんだろうけど…





こんなの見たって不快になるだけだ





『…先生が、』



「俺が、何？」



『先生が捕まりますね、うん。確実に』



「…え、今？」





先生が豆鉄砲食らったみたいな顔してる


先生のこういう表情、初めて見たかもしれない





『あ、そうだ。
茅野さんが準備室に来たとき、誤魔化してくれたんですよね？

嘘を吐かせてしまってすみませんでした』



「え？あ、あぁ…
いや、俺が勝手にやった事だから気にするな。


あと、話逸らしたな？」



『あはは…
いや、別に先生が言えって言うなら言いますけど…脱ぎますよ？』



「…考えさせて」





それはどういう意味でだろうか



先生が難しい顔で深く考え始めてるから、ある程度の事柄は分かっているのかもしれない


いや、そもそも最初から知らないみたいな素振りをしていたこと自体が意外だった


家庭事情は調べたって言ってたのに…






何故そんな現象が起こっているのか


それは多分、何処かの段階で誰かが手を加えて隠蔽したから




…その人は随分と優しいなぁ


でもその努力も多分水の泡になっただろう





「なぁ、お前って…」



「さっぱりした！

あれ、Aまだ行ってないの？」





先生が何か言いかけたとき、タイミング良くか悪くか男子も女子も結構な人数が戻ってきた


先生を一瞥すると困ったように笑って行くように促された








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