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それは他の人も引っ掛かったみたいで、兵頭くんが真壁の言った “たまたま会場に…” を強調する
そして里見くんの目の前の机の上に立って覗き込むように目線を合わせた
けど里見くんは余裕そうに鼻で笑った
「試合が中止になって、暇になったから見に行っただけだよ」
「俺は暇でも水泳なんて見ないけどねぇ」
「俺もぉー」
「はい、俺もー」
「何？お前らも俺のこと疑ってるの？」
「…いや？」
余裕そうに言ってるけど
少しだけ、焦ったように聞こえた
気のせいかな…
「サッカー部の試合が中止になったのは本当だよ！海斗は嘘なんて吐いてない！」
「そうだよ！海斗くんがそんなことするわけない！」
「海斗があんな動画を撮る理由なんて何処にもないし…」
「ハイ出ましたー、里見親衛隊ぃー！」
「よっ、親衛隊！！」
「そんなんじゃないから！
マネージャーだったからここに書いてあるだけ！」
里見くんをフォローする女子達を石倉くんや兵頭くんが冷やかす
それを否定したのはスケジュール帳らしきものを持った花岡さん
「へぇ〜、
あ、でもお前、里見と別れてサッカー部のマネージャー辞めたんじゃなかったっけ？」
「なわけないでしょ！
ってか、今それ関係ないし」
歩いてくる石倉くんに花岡さんは鬱陶しそうに喋った
何でそんな恋愛事情知ってるのか不思議だけど、
多分有名な話題だから知ってるんだろう。
今更だけど乗り遅れてるなぁ、私
だめじゃん
「甲斐〜、さっきから何で黙ってんの？
いっつも最前線でギャアギャア喚いてるくせに」
確かに、言われてみれば静か…
…甲斐くんも何か関係してるのかな
仮に、里見くんが撮ったとして
その動画を頼んだ、あるいは加工したのが別の人間だとしたら…
それが甲斐くんだとしたら…
…確信もないのにそういうの考えるのやめよう
概念が固定されそうだ
「…うるせぇ
俺達で犯人捜ししても意味ねぇだろ。答えるのは刑事なんだから…」
甲斐くんはそう言っていたけど
目は前を向いてなくて、ずっと斜め下の方に向いていた
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月28日 0時
