【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ6)

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少しだけ先生と喋ってから教室に戻り、景山の席に座った

周りの視線は教室を出たときより集まらなくて、安心した

…そういえば、真壁がマネージャーになったのって、変に絡んで来る人達から景山を守ろうとして

その時にやられて靭帯を切ったからだっけか

“＿翔がね、泳げなくなっちゃった…＿”

“＿あのね！翔がマネージャーになったの！だから形は違うけど水泳に関わってくれたよ！＿”

“＿茅野さん？が提案してくれたみたいで…凄く感謝してるんだ＿”

“＿Aもそんなこと言ったんでしょ？翔から聞いた。ありがとう＿”

景山はあのとき綺麗に笑ってた

真壁が泳げないって分かったときは自分を責めるみたいな顔してたけど…

凄く嬉しそうだったな

恋愛感情持ってたのかもしれない

「渡瀬ぇ…」

『…どうしたの』

思い返していたら目の前の席にタイムリーな人が座って、ベタァと机に項垂れた

少し、元気がない

「俺ってさぁ、そんなにヘタレ？」

『…熊沢さんに言われた？』

「うん…」

もっと深刻なものかと思って身構えたけど、その必要は無かったみたいだ

確か真壁は、熊沢さんと幼馴染だったはず…

『…熊沢さんが言うんだから、そうなんじゃないかな？

熊沢さんの方が真壁のことよく知ってるし…』

「うん、知ってる。よく言われてる…」

じゃあ何で聞いたんだ

その言葉は言わずに適当に返事をした

そんなことより熊沢さんからの視線が痛い

…熊沢さん、真壁のこと好きなんだろうな

視線がそういう視線をしていた

「里見ぃー、あんた疑われてるよ」

「…は？」

「名推理、聞かせてよ」

そんなとき、前方のドアから諏訪さんが入ってきて

背中を押されたように茅野さんが入ってきた

困惑したような顔をしてたけど、茅野さんは「じゃあ…」と切り出した

「全国大会の会場に居たよね。

観客席に、ジャージ着て…」

「おい、どういうことだよ」

それに反応した真壁が姿勢を起こして、思い出したような顔をした

「あ、そういえば大会の日、
ジャージの上着、里見に貸したんだっけ…」

「何で貸したの？」

「あのとき色々と準備に追われてて…

なのに、急に駐車場の警備手伝わなくちゃいけなくなって。

たまたま会場に居た里見にお願いして、引き受けてもらったんだ」

あれ？

里見くんって、水泳部じゃないよね…

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