【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ50)

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教室に行ったら先生は「写真を撮る」と言って黒板前に生徒全員を並ばせた

その写真は奇妙なもので

生徒は黒板の方を向いてカメラに背を向け、先生だけカメラの方を見ている。

その先生の手には新聞紙という理解するのに時間が掛かりそうな写真だった

それはネット上に載せられ、全員生きているということが発覚して更に世間は盛り上がりを見せる

「A、準備室で寝てたんだって？さくらから聞いたよ」

「Aちゃんが戻るの遅かったから先生に聞いたんだ。よく眠れた？」

『…うん、お陰様で』

話を合わせて頷いてみるけど、美術室に行かされた理由は別にあった

事実とは異なる話に少し疑問を抱くけど、何となく食い違う理由が分かった

多分、先生が嘘吐いてくれたんだろう

だとしたら申し訳ないことをしちゃった

何で私達がこんな会話をしてるかというと…

「めちゃめちゃ美味しい」

「久し振りに美味しいご飯…」

「ね、美味しい」

夜ご飯を食べているから

配られたのは湯気が立つカレー

正直言ってお腹空いてないけど、それを受け取ってみんなが食べているのを眺めている

本当に美味しそうに食べている

温かいご飯自体が久し振りだから余計に美味しく感じるんだろうな

「食べないの…？」

『え、』

魚住さんが手を付けてない私のカレーを見ながら聞いてきた

「あ、ホントだ。食べてないじゃん」

「お腹空いてないの？美味しいよ」

そう言われても食欲は湧かない

パン食べるのでさえあんな状態で、その上病み上がりだから尚更だ

『…あのさ、もし良かったらで構わないんだけど、食べてもらえないかな？』

「えっ、良いの？」

『うん。残したら勿体無いし、もし多いなら4人で分けてくれても…』

「分かった、ありがとう！」

被せるほどの勢いで魚住さんが差し出したカレーを受け取った

すると宇佐美さんが横から、でもその前に…と言って私の方を向く

そしてスプーンで掬ったそれを私の前に差し出した

「華、Aがこれ一口食べてからじゃないとダメだから」

『……』

そう言われると魚住さんの食べようとしていた手が止まった

…これ食べなきゃ、魚住さんが食べれないんだよね

先生のときみたいに少し口を開けるとスプーンが入れられて、咀嚼すると宇佐美さんが満足そうに笑った

「あーんとか、えっも…」

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