【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ49)

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誰かに揺さ振られる感覚がして、徐々に意識が戻ってくる

「＿、…A！」

視界も段々はっきりしてきて

シルエットがちゃんと人となって視界に映る

目の前に広がるのは、不安そうに顔を覗き込む先生

目が合うと少しその表情は和らいだ

…先生？

脳が目の前に居る人間が先生だとちゃんと理解すると、勢いよく体を起こした

「魘されてたぞ…大丈夫か？」

『えっ、…あ、はい、まぁ…』

え？魘されてたって、いつ意識飛んだの？

顎あたりを触ってみると少しジトっとしていた

「どうした？悪い夢でも見たか？」

『いや、何見てたとか正直覚えてなくて…というか意識が無かったことも曖昧で……』

息切れてるし、少し汗ばんでるから先生が言っていることは多分正しい

でも覚えてないことも確かだった

少し混乱していると、頭を優しく撫でられる

その流れで額に手を滑らせてきた

「…うん、大分下がったな。顔色も…朝よりは良い」

更に先生は手を滑らせて頬を指で優しく撫でる

飲んだの、解熱剤だったのか

…いや、ちょっと待って？

『せ、先生…』

「ん？」

『今、何時くらいですか…？』

尋ねると先生は近くにあった時計を見て、夕方頃。と答えた

…いくらボーッとしてたとは言え、時間がこんなにも経っているなんて思ってもみなかった

いや、だから熱下がったんだろうけどさ

『…迷惑掛けてすみませんでした。教室に戻ります』

「そんな事思ってないから気にするな。
あ、それと、戻るんだったらちょっと手伝って欲しいんだけど…」

『それは構いませんが…』

そう言うと先生は一旦奥に消えて、なんか色々抱えて来た

「運ぶの、手伝ってくれ」

そこにあるのはカメラ、そのカメラの三脚、新聞紙…

新聞は五十嵐さんに頼んだのかな。今日の日付が入ってるから

ベッドから降りて置かれたものを見比べる

この中で一番運びづらいのって三脚だよね…

そう思ってカメラの三脚を持つけど

「あ、お前はこっち持って」

『え、でも先生、体が…』

「病み上がりが何言ってんだよ」

そう言われて呆気なく残りの2つと交換させられた

…でも、先生の負担になってることに変わりない

ただでさえ看病させちゃったんだから、せめてもと思ったけど

先生は既に準備室のドアを開けて出ようとしていたから諦めた

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