【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ30)

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sideなし

ガールズバーの奥

つまり、ベルムズのアジトで喜志正臣は近くのテーブルの脚に手錠で繋がれていた

郡司や宮城が他のベルムズのメンバーを拘束していく中、喜志の目には開きっぱなしのパソコンが目に止まった

「…約束だもんね、Aチャン」

そう呟いて喜志は拘束されていない方の手でパソコンを弄り始めた

その音に気付いた郡司は急いで戻り、喜志を殴る

だが、喜志の指は

既にenterキーを押していた

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『…茅野さんも、みんなの所に行かないの？』

「え」

『え、だって乗り遅れたって…』

「あー、なんかもう、良いかなぁって」

そう言って茅野さんは、じっと先生を見た

先生は、未だに目を開けてくれない

…傷、この程度だったら直ぐ治るなぁ

「Aちゃんは、さ」

『ん？』

「先生やこの事件のこと、何処まで知ってるの？」

茅野さんが真っ直ぐな目を向けて私に尋ねた

何処までと言われても…

半分くらいは憶測だし、何処まで言って良いのか分からない

なかなか喋らない私を見て茅野さんは、じゃあ…と質問を変えた

「さっきの電話の人、知り合い？」

『…昔、お世話になった人だよ』

「そうなんだ…

ちなみに、誰…って聞いても教えられないか」

その通りだよ。ごめんね

先生に許可なく教えて良いものか分からないし

というか私、先生の協力者じゃないから細かいことまでは分からない

ただぼんやりと輪郭が見えているだけで

「…チッ、1人になれる場所もねぇのかよ」

教室の奥のドアの方から諏訪さんが入ってきて、

苛立ったようにバッグを机に置いた

茅野さんも振り向くが、諏訪さんの苛立った様子を見て顔を戻した

「…ぶっきー、長くないらしいよ」

「…えっ？」

「病気だって、もうすぐ死ぬみたい」

「嘘…」

『……』

薄々、勘付いてはいた

突然痛みが走ってそれに耐えるのも

痩せてきているのも

脂汗をかいているのも

あの薬も…

いや、本当はもっと前から……

「馬鹿だよね。
病院で大人しくしていたら、もう少し長生き出来たのに…

澪奈の真実暴くとか言ってるけど、やってること犯罪じゃん

犯罪者が偉そうに」

「…私は救われたよ、先生に」

先生が起きてたら、

茅野さんの言ったそのことをどう受け止めるんだろう

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