【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず【今から皆さんは人質です】

・ ページ7

・





「渡瀬、携帯はどこだ〜」



『上着の中です。今、手が離せる状態じゃないので待ってもらえますか？』



「あぁ、なら後ででいいよ」





最後に甲斐くんのところに行って袋を広げれば、
不機嫌な顔をしているけどカバンとスマホを入れてくれた。


不機嫌になる気持ちは分からなくもないけど、

人質だから仕方ない



教卓の方に荷物を入れて袋を置けば、先生は何も言わずに私の上着のポケットを探る

そしてスマホを手にしたら先生が持っていた袋の方に放り込まれた。

画面が割れそうな扱い方だったのは見なかったことにしよう。


他にも何かないか確認されたけど、生憎と他にはハンカチくらいしか入ってないから取られることはなかった

それが終わったら先生は目で「席に戻れ」と伝えてきたので静かに自分の席に座った。


席に着けば、一番最後に荷物を入れさせられた茅野さんがみんなの意見を代弁するように、
何故こんな事をするのか聞いていた





「君達が人質になったのには、理由がある」




先生がそう言うとタイミングを見計らったみたいにチャイムが鳴った

普段より静かな場所に響くチャイムはあまりに無慈悲な音に感じる





「はい、きりーつ」





スッと立ち上がってみるけど、周りの人は誰も立ち上がらない

…選択肢をミスった


そう、だよね。

普通は状況に困惑して立つわけない

1人で立ってるの嫌だなぁ。視線が刺さる





「起立だよ、はい、きーりーつー。
渡瀬を見習えー」





なるべく名前を出さないでほしい

変に目立って仕方ない


それでも尚みんなが立たないから、先生は袖をまくって腕時計を見せて指を近づける

さっき爆発させた時のやつだ


その脅しでようやくみんなが席を立つ





「これから、俺の授業を始める。礼」





そう言われて礼をするのはほんの数人

すると先生はまた腕時計に手をやりながら同じセリフを繰り返す。

そうすれば今度はみんなが礼をし、着席の合図でみんなが座る


普段のこのクラスの様子と照らし合わせると、
今の光景が異様な光景だというのは一目瞭然だった









・

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す