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宇佐美、と先生が落ち着いた静かな声で呼ぶ





「お前は、景山にしたことが自分にされたらどんな思いをするのか
考えたことがあったか?」



「なに、説教…?」



「そうだ。説教だ。

二度と、こんなことにならないようにな」



「うるさいッ!!」



「逃げるなぁッ!!!」




ここまで大きく怒鳴る先生は初めてかもしれない

昨日とは違う、怒鳴り方だった


脅しではない怒鳴り方




「そうやって大声で、拒絶して、
誰の声にも耳を貸さずに生きてきたんだな。

そのせいで、あんな馬鹿な真似しても何も感じない人間になったんだな…」



「何でアンタにそんなこと言われなきゃいけないの…?」



「俺は、お前の教師だからだ。

お前を正しい道に、導く義務がある」





それを聞いて宇佐美さんは目の前にある机を退かして、音を立てる

怒りと、苛立ちと、拒絶と、反抗が入り混じっている気がした




「…ッ、ふざけんなッ!!
今まで何にもしてくれなかったくせにッ!!」



「そうだ。だからだよ…

だから俺は、今、この瞬間に…
お前達の教師になるために…!

ここにこうして立ってるんだ」





…生徒を正しい道に導くために

同じ過ちをしないように

教師になるため…?



先生は、先生なのに

今までも先生だったのにね





「…宇佐美、お前に足りなかったものは、想像力だ。


もし、自分の家の窓を割られたら、
自分の服を切り裂かれたら、どんな思いをするのか。

嘘の投稿で、謂れの無い中傷を受けたら、どれほど傷付くのか。


お前にはその痛みを、想像出来なかったんだ」




「…っ、うるさい、

うるさいうるさいうるさいッ!!」




耳を塞ぐようにして崩れ落ちた


でも先生はそれを逃さまいと両手で宇佐美さんの顔を押さえて前を向かす





「よく聞け…」





そう喋り出す先生の声は、優しくて、安心させるような柔らかいもので

落ち着くには十分だった





「景山は、お前を恨んじゃいなかった。

むしろ、自分のせいだって言ってた」





“_私がいけないの…_”



“_何も言わずに香帆を拒んで、ちゃんと伝えていれば良かった…_”



“_友達が欲しかったの_”



“_どうしようA、傷付けちゃった…_”



“_私は香帆と、本当の意味での友達になりたかったッ…_”




伝えてる先生は泣いていた

あの時の景山みたいに


先生の言ってることで言葉が補えた

あの時、景山は一回も名前を出さなかったね…







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(プロフ) - ごめんなさい、不謹慎だけど主人公冷静にツッコミしすぎて笑ってしまった笑 (2022年4月12日 0時) (レス) @page32 id: 4806b1b4dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - 苗字で呼ばれるなら変換できるようにしてほしい!自分渡瀬じゃないんで! (2019年3月31日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月17日 23時

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