detective WEST Ⅱ (ページ21)

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雲行きが怪しくなり始めたのは、無事仕事が解決した２日目の夕方。

予想通り昼過ぎには仕事が終わり、ご飯の時間まではホテルの部屋でゆっくりしよう、ということになりホテルまで向かうその途中のことやった。

並んで歩いて帰っていると、突然響いたドンッ！！という大きな衝撃音。耳をつんざくような誰かの叫び声。「救急車！」としきりに叫ぶ怒号。少し遅れて鳴り響くサイレンの音。

正確な場所は分からんけど、この近くで交通事故らしきものが起きたことは明確やった。

俺らの周囲にいた通行人も皆足を止めて、音が聞こえてきた方向へ意識を向ける。
ざわざわ、と野次馬がそちらへ流れていく。

緑「っ、はぁっ」

桃「神ちゃん！」

事故の方へ意識を取られていると、すぐ隣で神ちゃんが頭を抑えながらしゃがみ込んだ。

……やばい。

事故による強いパニックや恐怖、痛み。通行人の関心、増えていく野次馬。
神ちゃんが発作を起こしてしまうほどあまりにも多くの感情が入り乱れている。こういう時、どうしたらいいんやっけ。

神ちゃんの発作を目の当たりにして、焦りからか頭の中が真っ白になる。

落ち着け、こういう時シゲならどうする？

事務所で発作が起こった時、シゲは真っ先に神ちゃんを自室へ連れて行く。なるべく人と遠ざかった方が良いらしく、落ち着くまでは俺らも二人の部屋には立ち入り禁止。

取り敢えず、道の真ん中にしゃがみ込む神ちゃんをホテルへ連れ戻すことが先決。
呼吸が荒く額に汗を滲ませながら苦しそうに頭を押さえる神ちゃんを背中におぶって、ホテルまでの道のりを急いだ。