detective WEST Ⅱ (ページ3)

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橙side

橙「淳太くん遅いな」

自分ひとりしか居ない２階の事務所で、誰にでもなく独り言を零す。
先程、今から帰るから適当に晩ご飯を頼んどいてくれと連絡してきた事務所の最年長である淳太くんは、待てども一向に帰ってこない。

スマホのスケジュール管理アプリを開いて、彼の今日の依頼を確認する。やはりここからそう遠い所ではない。

……嫌な予感がする。

野生の勘ってやつかな。こういうときの予感って悲しいことに意外とよく当たる。
胸騒ぎを何とか深呼吸で落ち着けながら３階のモンチの自室へ向かう。

橙「もんち、今いい？」

コンコン、と軽くノックをしてドアを開けると、ひょいっとモンチがパソコンから顔をあげる。

緑「おん、どしたん？」

橙「淳太くんから連絡来てからもう1時間近くたつのに帰って来んのよ。連絡しても繋がらんし、もんちちょっと探してみてくれへん？」

お願いすると、心配の色を顔に浮かべたもんちがすぐさま視線を外に向ける。

緑「淳太、今日の仕事どの辺？」

橙「あっちの方やな。連絡来た時にはもう駅の近くにおったはずなんやけど」

指さした方向を凝視するもんち。
初めは心配が滲み出ていた表情が、次第に険しいものに変わっていく。

緑「照史」

橙「おった？」

緑「照史やばい、救急車呼んで！」

淳太が倒れとる、と慌てたように言うもんち。
え、って一瞬パニックになりそうになるけど、早く！っというもんちの声に弾かれたように電話をかける。
救急車を呼んでそのまま二人で車に乗り込む。もんちの案内のもと向かうは淳太くんが倒れている路地。

なんで、とか誰が、とか頭の中はパニック状態。
取り敢えず助かって欲しい。それだけを考えてアクセルを踏んだ。