detective WEST Ⅱ (ページ16)

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赤「神ちゃん、落ち着いた？」

緑「ごめん。もう大丈夫。ありがとう」

目尻に残る涙を拭って、未だに心配の表情を崩さないシゲに笑顔を見せる。

純さんの部屋に入った瞬間、思わず涙が出た。
純さんの部屋そのものが、そこに置かれた全てのものが、切ないほどに蘭さんへの愛を伝えていたから。

赤「神ちゃん、これ。やっぱり隠してあったわ」

シゲが目の前に差し出してきたのは、病院の診断書。
俺が泣いてる間に探してくれたらしいそれには、予想通り原因不明の指定難病が示されてあった。

緑「……ALSか。やっぱり、純さんは蘭さんの今後の人生の為に自ら死を選んだんや」

赤「嘘がつけないから、か。嫌いになったとか別れたいとか、蘭さんを突き放すようなことは嘘でも言いたくなかったんやなぁ」

緑「心の底から愛してたからこの選択をしたんやと思う」

赤「なぁ神ちゃん、純さんは蘭さんが真実を知ることを望むと思う？死ぬまで隠し通したなら俺らがそれを伝えたら純さんや純さんのお母さんの意向を無視することにならんかな。蘭さんやって、純さんの異変に気づけんかった自分を責めるかもしれん」

シゲの言うことはもっともやった。
純さんは何も言わんかった。隠し通したいという意思は明白。

緑「……やけど、やっぱりどうしても切なくて。この部屋、ほんまに純さんの蘭さんに対する愛で溢れてるんよ。純さんはこんなにも蘭さんを愛してるのに、このまま蘭さんが純さんの浮気を疑ったまま生きていくのはすごくやるせない」

緑「蘭さん会う度やつれていってるし、悲しみと同時に不安や疑いの気持が大きくなっていってる。このままやと蘭さんの心が壊れてしまうかもしれん。純さんが蘭さんの今後の人生の幸せを願ったんやとしたら、蘭さんに伝えることはその意思に背いてるとは言えんのちゃうかな」

赤「たしかに。蘭さんには知る権利があるな」

シゲが見つけた診断書はデスクの引き出しの奥に仕舞われていた。
ちゃんと探せば蘭さんが見つけることが出来る場所。

話し合った結果、俺たちは蘭さんに事実を伝えることにした。