detective WEST Ⅱ (ページ14)

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翌日。
再び話を聞くために事務所に来てもらった蘭さんは、心なしか数日前よりさらにやつれたように見えた。

「純のお母さんに言われた、あの子は嘘がつけないからって言葉が頭から離れなくて。あれはどういう意味なんだろうって考える度に、考えが良くない方向に行っちゃって」

「実は、純亡くなる２週間くらい前に結婚の話題を出したんです。仲良しの芸能人の夫婦がテレビに出てたから、私たちもこうなりたいねって。今思えばその時の純の反応が鈍かったような気がしてならなくて」

「純のことを信じてるけど……もしかしたらって可能性が一度浮かんでしまうと中々消えなくて」

涙を浮かべながら話す蘭さんは、悲しみの色に加えて不安の色を前回より濃く纏っている。

赤「亡くなる前に純さんが、蘭さんとの別れを示唆するような発言は何かありましたか？」

「別れ話はしたことが無いです。…………ただ、少し前に珍しく純に映画を見ようと誘われて。普段はあまり見ない人なんですけど、休日で暇だったので純が選んだものを見たんです。」

「恋人が余命宣告をされる重めの恋愛映画で、見終わったあとに純が、もし自分がこんな病気にかかったらどうするかって聞いてきて。何があっても一緒にいるよって答えたら、あの人、遠慮なく切り捨ててくれって」

赤「なるほど。亡くなる前、純さんに何か異変はありましたか？体調不良だとか、どんな小さなことでも良いです」

「……以前より疲れやすくなっていたような気はします。筋力が落ちたと本人も言っていて。あとこれは確かじゃないですけど、ギターを弾く頻度が減ったような。元々純は弾き語りが好きで、私も彼の歌が好きでよく弾いてもらってたんですけど、ここ最近は全くギターに触れてなかった気がします」

蘭さんの言葉に、俺の仮説が少し確証を帯びる。
シゲもそれを感じたのか、蘭さんの話を聞きながら意味ありげな視線をこちらに向けた。