detective WEST Ⅱ (ページ13)

今日:12 hit、昨日:64 hit、合計:21,556 hit

. ページ13

「……お話出来ることは、本当に無いんです」

さらに10分ほど車を走らせた先に到着した佐々木さん宅は、畑に沿った住宅街の一角にあった。
突然の訪問に応対してくれたのは佐々木さんのお母さん。

佐々木さんと蘭さんの共通の友人を名乗って、純さんに何か悩みがあったのか尋ねると、彼女は申し訳無さそうに眉を下げた。

赤「蘭さんと何かあったとか、」

「それはありません。あの子は蘭ちゃんが大好きやったから」

赤「そうですか。失礼なことを聞いてすみません」

結局、息子を亡くしたばかりの佐々木さんにそれ以上に踏み込んだ質問は出来ず。
はっきりとした理由は掴めないまま佐々木家を後にした。

赤「どうやった？あのお母さん」

緑「嘘はついてなかった。見えたのは、悲しみと申し訳なさと、それから迷いやな」

赤「ほんまのことを言うべきかどうかってこと？」

緑「多分そう。純さんは蘭さんに何も言わずに亡くなったわけやから、親としてその意向を汲んでるんかもしれん」

赤「なるほどなぁ」

純さんは蘭さんが大好きやった、とはっきり言い切ったお母さん。
家族がそれを認める程に愛していたなら、なんで何も言わずに亡くなったのか。
言葉に表しきれない切なさのようなものが胸につかえる。

緑「あのさぁシゲ、これはあくまで俺の仮説なんやけど……」

赤「……可能性はあるな。淳太に頼んで調べてみるわ」