detective WEST Ⅱ (ページ12)

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最初にシゲと二人で向かったのは、佐々木さんの実家やった。
加藤さんの話を聞くかぎり、佐々木さんの母親は自死の理由を知っていそうな口ぶりやった。

見ず知らずの他人に話してくれる可能性は低いけど行ってみる価値はある。

赤「なんか久しぶりやなぁ、神ちゃんとこうやって二人で出かけるの」

緑「昔はよく連れ出してくれてたな。今は仕事中やけど」

シゲの運転で事務所から車を走らせること２時間。
佐々木さんの実家は随分と田舎の町にあるらしく、車内から見える景色は、ビルが聳え立つ都会から長閑な田園風景へ。

赤「けどほんまこの田舎な感じ懐かしい。俺らの地元みたいや」

ふと思い出すのは、まだ学生やった自分たち。
俺とシゲは兵庫の田舎町で育った。

赤「あの頃の神ちゃん可愛かったで。星見ながらぼろぼろ泣いて」

緑「恥ずっ。……その節はお世話になりました」

俺の持つ力は、いわゆる千里眼。
千里先を見通すだけでなく、人や物の心さえも読み取ることが出来る。
若かったあの頃はこの力が嫌いでしょうがなかった。
人は常に何かに対して負の感情を抱えている。それを過敏に読み取っては息苦しくなったし、周囲の人間や家族でさえも俺のこの力を気味悪がり疎ましく思われているのが辛かった。
誰一人として信用出来ず、死にたいとさえ思うひとりぼっちの毎日。
シゲに出会うまでは。

「俺神ちゃんと仲良くなりたいねん」
「超能力？めっちゃかっこええやん。ヒーローみたいや」

シゲが俺に向ける言葉には、何ひとつ嘘が無かった。
シゲの心はどこまでも澄み渡った綺麗な色で、人生で初めてシゲだけは信じてみたいと思えた。

一時は死ぬことさえ考えた俺を救ったのはシゲやった。

『神ちゃん見て、世界は広いで！』

満天の星空の下で、ありのままの俺を受け入れてくれる人間は必ずいる、と力強くシゲは言った。自分がその一番手やって。
その言葉通り、シゲの助言で飛び込んだ探偵の世界で俺は今６人の大切な仲間に出会えた。