detective WEST Ⅱ (ページ2)

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黄「家がバレてるんやったら１回実家に帰った方が安全やない？何かあってからやと遅いよ。家族なり警察なりに相談せんと」

職場で待ち伏せは完全なストーカー予備軍。
このまま逃げ続けてもエスカレートする可能性がある。

花ちゃんの実家は確かこの辺りからは少し遠いけど、通えんことはない距離のはず。安全面を考えてもその方が良い。そう提案すると、俯いていた彼女は少しだけ落ち着きを取り戻した様子で、今週末にでも実家に帰ることを約束してくれた。

コーヒーが無くなった頃には花ちゃんもすっかり落ち着いた様子やったから、そのまま彼女を無事家まで送り届ける。アパートのエントランスが閉まったことを見届けてから事務所への道を再び急いだ。

黄「……」

事務所へ向かうまでの、薄暗い路地。
コツコツと聞こえる足音は、どうやら先程から自分のものだけや無さそう。
俺が止まれば止まり、進めば再び聞こえだす足音。
背後から感じる気配に恐怖で背中が粟立つ。

神ちゃんに連絡しよう。
足音の様子からして後ろの誰かが俺をつけているのは間違い無さそうな気はするけど、こういう時は神ちゃんの力で後ろの人の感情を見てもらうのが早い。

連絡を取ろうとスマホを取り出したその時。

一定の間隔を取っていた足音が一気に近づいて来る。

黄「ぅわっ！」

驚きと恐怖で足がもつれて上手く逃げれない。
その間に人影は一気に距離を詰めてくる。

黄「っう゛、」

脇腹に走る鋭い痛み。
薄れゆく意識の中で、銀色に鈍く光るナイフが視界に映る。
あぁ、俺刺されたんや。
それを自覚すると同時に意識を失った。