detective WEST Ⅱ (ページ1)

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嫉妬の刃ページ1

お題箱より
・黄が怪我する話
・橙と緑のコンビ
リクエストありがとうございました！

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黄side

2月の日暮れは早い。
5時を過ぎた頃には日は大分傾いて、本日の仕事が想定していたより時間がかかってしまったことを悟る。
疲れたなぁ。吹き付ける風を防ぐためコートのポケットに両手を突っ込んで足早に事務所への道を急ぐ。
いい時間帯でお腹も空いてきたし、照史あたりに何か頼んでおこうかな、と思いスマホを取り出す。適当にデリバリーを頼む旨の連絡をする。

ドンッ。
スマホに視線を向けていたせいで前方への注意を怠っていた。
急いでいるのか前から早足で駆けてきた女性と思いきり肩がぶつかってしまう。

黄「すいません」

慌てて振り返って謝罪すると、ぶつかった女性と目が合った。

「もしかして淳太くん？」

黄「あっ！」

見覚えのあるその子は高校時代の友人の妹、花ちゃん。
しょっちゅう家に遊びに行かせて貰っとったからすっかり仲良くなったけど、こうして顔を合わせるのは何年ぶりか。

黄「どしたんそんなに急いで」

コートの下から覗くスーツを見るに、仕事帰りやろう。
急いでいた事情を尋ねると、再会に笑顔を見せていた花ちゃんは途端に泣きそうに顔を歪めた。

「実は、」

道端で立ち止まって話す訳にもいかず、かといって泣きそうな花ちゃんをそのまま帰らす訳にもいかず。
近場のコーヒーショップに立ち寄って向かい合う。寒さに冷えていた身体に熱いコーヒーが染みる。

どうやら花ちゃんは、２週間前に別れた恋人から復縁を迫られ続けているらしい。
交際期間は１年半。話を聞くかぎり元彼はDV男の典型的パターンのようで、強い束縛や酒に酔ったときの暴力に悩まされていたが、たまに囁かれる愛の言葉に縋ってズルズルと交際を続けてきた。が、友人からの説得とエスカレートする暴力に耐えきれずついに別れを決意した。

「LINEやインスタをブロックしても新しいアカウントを作ってしつこくメッセージを送ってきたり、もう何回も家まで来てチャイムを鳴らされ続けたりしてて、それで今日遂に職場先で待ち伏せされて」

ビルから出たところ直ぐに声を掛けられ怖くなり逃げている最中に俺とぶつかったらしい。