愛してるから、奪いたい

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「ど、しよ…」


「A、どうしたん？今日帰って来てからさらに元気なくなっとるやんけ」



俺に話してみ？と師匠が隣に座った。


師匠になら、いいよね…。


ノゾムさんに結婚は出来ないと言えなかったこと、
結婚を発表することに頷いてしまったこと…


今日あったことを全部話した。



「そ、っか…」



師匠は途端に悲しそうな顔になって、うつむいた。


そして私の肩を抱いてぎゅっと抱き締める。



「師匠…？」


「わかっとんねん…こんなこと言ったらっ…Aがさらに悩む、って…ッ」



苦しそうで泣きそうな声。


その声に私まで涙が出そうになる。



「でも、俺っ…」


「うん…」


「俺っ…ずっと、Aが好きやった…ッ」



驚いたけれど、
うんと落ち着いて頷く。



「親としてやないっ…恋愛対象として、好きなんやッ……」


「っ…うん……」


「俺にしたらええんに…っ…、シゲでもノゾムでもなくて……俺やったらええんにッ…！」



子どものように泣きじゃくる師匠。


いつもは私が慰められる側だから、
どうしたら良いのか分からなくてぎゅっと抱き締めることしか出来ない。


師匠の気持ちを知った今、

私の頭は本当にごちゃごちゃだ。


ど、したら…。


どうしたら、みんな幸せになれる？

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