雨のせいで sh#20 ページ5
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『……雨かぁ』
ため息をつく私の耳に聞こえてくるのは、小さく雨が傘を叩く音だけ。
今日は、幼なじみの央に買い物に付き合ってもらう約束をしていた。
……なのに、よりによって雨。
雨は嫌いじゃないけど、今日は憎まざる得ない。
俯いて傘を差す私にだんだん近づく足音、すぐに央だと気づく。
足音は目の前で止まり、
「おい、気づいてるんならはよ傘上げや」
『…私だってバレてたん？10分遅れや央クン』
「バレバレやで、ってええ…そんな細かく時間決めてなかったやん〜…」
言い訳する彼を叱りながらも、私だと気づいてくれた事が嬉しく思わず顔がにやけてしまいそうになる。
幼稚園の頃から一緒の央。
彼に対しての恋心を持ったのは高校くらい…下手すりゃ大学かも。
ずっと一緒、が当たり前じゃなくなってから、会える時間が私にとっても大切で、幸せな時間だと気づいた。
『…雨やんな』
「小雨やけどな、すぐ晴れるやろ。たぶん」
『だといいんやけど』
央と私は、ショッピングモールへと足を運んだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
買い物を済ませ、私の家へと帰ってきた私たち。
時計は既にお昼を過ぎ、2時を示そうとしていた。
『ただいま〜。足いったぁ…！ひさびさの買い物ではしゃいじゃった〜』
「見てきた割に全然買ってないやん」
『見るだけで満足出来るのっ！』
さっぱり分からん…と言いながらリビングに買った物が入った袋をドサッと置いた央、ふと、周りを見回して…
「そういや、Aの家はじめて来た」
『……えっ、今更？さりげなく上がっといて？』
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作者名：いろは | 作成日時：2020年1月4日 0時
