55話 ページ5
無我夢中で歌った。名前も知らない歌を、ひたすらに。
私は集中すると周りが見えなくなるらしく、オンマが練習室に入ってきた音でハッとした。
「ちょっとA!いつまで練習してんのー!」
「え?・・・あれ、今何時?」
「6時よ、6時!・・・あれ、ダンス練習してたんじゃないの?」
練習着ではない私を見て不思議に思ったのか、首を傾げるオンマに、胸がツキンっと痛んだ。
「・・・うん、歌の練習してた」
「・・・そう」
私がそれだけ言うと、オンマは何も言わずに「早く準備しちゃいなさいよ〜」といつも通り笑った。
私はダンスをやめたことをオンマに言えなかった。けど、きっとオンマは気づいたと思う。優しく笑ったオンマの目は、みんなと同じ目をしていたから。
「よいっしょ・・・」
どれほど練習していたのか、わからないけれど、声がカサカサになっていないのは意外と歌い方がうまいのかもしれない、とか自画自賛してみた。そうしないと、罪悪感でまた泣いてしまいそうだったから。
あれほど応援してくれていたオンマも、練習室を作ってくれたアッパも、どんな気持ちでいるのだろうか。
そんなことも、歌っていれば忘れられて、学校なんか行かずにずっとずっと歌っていれたらいいのに。
そんなこと馬鹿みたいなことを考えながら練習室を出た。
外は、雨だった。
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さな - 完結お疲れ様でした!!続き気になってます|ω`) (2020年4月29日 5時) (レス) id: fbde6b4563 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです。ありがとうございました! (2020年4月21日 18時) (レス) id: af2d2dfc16 (このIDを非表示/違反報告)
名無し11907号(プロフ) - 続きみたい、、 (2020年4月16日 12時) (レス) id: becccdf5f1 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎちゃん(プロフ) - グクオチがいいです(;_;)ユンギも好きだけど、。 (2019年3月21日 12時) (レス) id: bc49230644 (このIDを非表示/違反報告)
niina - とても面白いです!!オチは誰なってもいいですけどぐくが見てみたいです。! (2019年2月16日 22時) (レス) id: 5bc7b247c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アコ | 作成日時:2018年12月28日 1時