超えるには近すぎる (ページ26)

今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:254,076 hit

26話ページ26

「そうだったんだ･･･。話してくれてありがとう。今、こうして話せてよかったよ」

恥ずかしくなって少し小さな声で言うと、クスッと笑って「私も」と言ってくれた。

「でも、なんでジョングギは僕とAちゃんが話す隙もないくらい近くにいたんだろ。テヒョナやユンギヒョンはいいのに･･･」

「ああ、それは･･･私ジミナと仲良くなった時、すごいグクに怒られたんだ～」

思い出しているのか、むずかしい顔をして笑った。

嫌な予感って言うのは、本当にあるのか、ザワザワと胸のあたりが気持ち悪くなった。

「グクがね、「ジミニヒョンと仲良くなったら、ヌナ絶対ジミニヒョンのこと好きになっちゃうからだめ」って言われたの。確かにジミナは優しいし、逆に惚れない要素がないくらいだけど･･･」

Aちゃんから、嬉しい言葉がいくつも出てきているのに、僕の耳はこの先の言葉を聞きたくないと拒んでいた。

「私とジミナは、アイドルとスタッフの関係なんだから、恋愛関係にはなれないのにね」

Aちゃんがそう告げた時、馬鹿みたいだけど、やっとはっきり気がついた。

いや、本当は気づいていた。でも、僕自身もわかっていたから、気付かないふりをしていたのかもしれない。

僕は、Aちゃんが好きだ。

でも、僕とAちゃんの関係をつなぐ境界線は

あまりにも、近すぎたんだ。

自惚れているのかもしれない、でも、確信はないけどそんな気がした。

Aちゃんも、僕のことがすきだって。

Aちゃんは、恋愛関係にはならない、じゃなくて、なれないっていった。

そして、自分で言った言葉に、酷く傷ついた顔をして、涙がこぼれそうな瞳を揺らしている。

ああ、僕達は、どうしてこんなに近い距離で出会ってしまったんだろう。

境界線を超えるには、近すぎて超えられない。