超えるには近すぎる (ページ25)

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25話ページ25

「久しぶり、だね」

いつも通りの可愛い笑顔で、怪我なんてしてないんじゃないかと、思ってしまった。

「うん、あの、僕、」

「謝ろうとしてる？」

心が読まれたのかと思った。「ごめん」と言おうとした時、被せるように首を傾げて話すAちゃん。

「マネージャーさんが私が買い出しに行った理由、話しちゃったって言ってたから。もしかしたら、気にしてるかなって･･･。やっぱり、気にしてた」

ふふっと小さく笑うと、「ごめんね」と小さく呟いた。

その顔があまりに綺麗で、僕は何も言えなくなってしまった。

「･･･ジミナ、あのね、ジミナには、私から直接、グクと私の関係を話したいの。聞いてくれる？」

Aちゃんのその言葉に答えるように、隣の椅子に座った。こんな時なのに、「ジミナには、」って言葉に嬉しく感じちゃってる自分がいる。

「ありがとう。あのね、グクと私は幼なじみなの。小さい頃、家が隣同士で、いつも遊んでた。私が就職して、芸能関係の仕事に就いた時、グクすごい反対したんだ。なんでかは、いまだにわからないんだけど･･･。それから仕事が忙しくて、疎遠になっちゃってた。なのにグク、アイドルになってたんだもん、すごいびっくりしちゃった。話しかけたかったけど、グクは「話しかけないで、知らない人のふりして。俺に関わらないで。いじめられたら大変でしょ」って。みんな優しいから大丈夫なのにね」

お姉さんの顔で、懐かしそうに話す横顔は、僕が全く知らないAちゃんだった。

「ジミナに、この話をしたかったのは、グクがいつもジミナのそばに居るから、関われなくて、挨拶出来なくてごめんなさいって謝りたかったんだ。」

だから、僕はAちゃんを知らなかったんだ、目でいつも追ってしまうくらい気になっていたのに、全く関わることが出来なかった、女の子。

今、こうして君と話せることが、ものすごく嬉しい。なのに、

僕達の関係は、すごく残酷で、報われないものだった。