超えるには近すぎる (ページ19)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:254,063 hit

19話ページ19

「ユンギヒョン、なんでテヒョニヒョンが曲を作ってたってわかるんですか？」

ジョングギがそういうと、感情の読み取れない表情で「俺も作りに行ってるから」とユンギヒョンが言った。

「そんな簡単に、男を部屋にあげるんですね、その人。」

トゲのある言い方で、吐き捨てるように言うと、ジョングギは席を立った。

「待てよ。何が言いたい。」

「･･･」

バチバチとユンギヒョンとジョングギの間に重い空気が漂う。

「お前、Aのこと嫌いだろ。」

ユンギヒョンは、僕が薄々、いや、かなり感じでいたことをはっきりとジョングギに告げた。

『嫌い』。ジョングギは人見知りだけど、そこまで嫌悪感を抱くような人はいなかった。ましてや話したこともない人には。

「･･･はい、嫌いです。」

それだけを言うと、「先に事務所に行きます」と一人宿舎を出ていった。

僕もジョングギについて行こうとすると、何かを察したようにホソギヒョンが「俺も先に行く」と言って出て行った。

なんとも言えない空気の中、朝食を終えて、テヒョナと二人きりになった。

「お前、ジョングギがAちゃんのこと嫌いって知ってた？」

こっちを見ないでぼーっとしたように話しかけてくるテヒョナ。

「知ってたって言うか、何となくそんな感じはしてた。」

僕がそういうと、「そっか」といって席を立った。

ジョングギがAちゃんを嫌い。どうしてなのか、その理由を聞いていいのか、わからない。

ジョングギは理由もなく人を嫌ったりしない。だからこそ、話したことがないと言っていたAちゃんを嫌う理由はなんだろう。

昨日の夜の寂しそうなジョングギが頭に浮かんだけど、それだけが理由じゃない気がした。