4話 ページ4
*
しばらく無言の空間が続いた。
彼の吸っている煙草は紫色の煙を纏っている。
紫煙だっけ。煙草から出る煙を指す言葉。
紫色、すごく彼に合ってる気がする。
勝手に初対面の人のイメージカラーを決めながらボーっと煙草を吸い続ける。外は相変わらず雲ひとつない快晴だ。
｢今日すっごい良い天気ですよね〜｣
別に無言の空間が気まずいという訳ではなかったが、何となく言葉を投げる。さっきは向こうから話題振ってくれたし。
｢…ピーカンって言葉の意味、知ってます？｣
｢ぴーかん｣
予想外の返答に頭が追いつかず、言葉を復唱してしまう。
｢あっ、ピーカン！確か快晴みたいな意味だった気が…？由来とか全然知らないんですけどね…｣
ガラス張りの外に広がる青い空がふと視界に入り、その言葉の意味を思い出す。同時に、彼の質問の意味も理解する。急になんの話かと思ってしまった。
｢あれ、快晴の空の色とピース缶の色が似てたからっていう理由らしいっすよ｣
安直な理由ですよね、と説明をしてくれる。缶ピースは確か、ショートピースが50本入った缶のことだ。言われてみれば快晴のように青いパッケージ…青い…青……？
｢ピース缶ってどっちかって言うと夜空っぽい色してません？｣
｢俺もしょっちゅう思います｣
じゃあなんで聞いたんだよ…と普段の友人に対するノリが出そうになったのを抑え、ふんふんと頷く。
自分が思っている以上に会話に集中していたからか、喫煙所の外からこちらを目指して歩いてくる人影に気がつかなかった。開いた扉から入る風が肌を撫でる。
｢お前今日にいさんとDDR踏みに行く約束忘れたんか？｣
｢こんな所で何してはりますの？ん？呑気に女の子と2人で喫煙？春が来ました？｣
丸メガネの身長の高い人と、もう1人のにいさんと呼ばれる2人組は、喫煙所に入ってくるなり彼に野次を飛ばしにきた。
｢ちゃいます…｣
｢アイマス？｣
｢難聴にいさんは帰ってデレステやっとってください｣
｢ｷｬ〜冷たい〜｣
彼を探していただけなのか茶々を入れる2人はそのままゲリラ豪雨のように去っていった。それを追いかけるようにショートピースの彼も外へ出ていく。
数歩進んでから思い出したかのようにこちらに向かって会釈をする。反射的に私も会釈を返す。
友人と思われる2人と話している時の彼は、なんというか、すごくいきいきとしていた。
｢あんな表情、するんだ｣
その顔を見て、もっと彼のことを知りたいと思ってしまった。
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オレオ - うぅ……続きが気になるんじゃぁ…… (2020年3月15日 6時) (
レス) id: 1e92aa4807 (このIDを非表示/違反報告)
@ぴお - ごめんなさい。ピーカンがピーマンに見えました((殴 (2020年2月29日 18時) (レス) id: d14a9375c7 (このIDを非表示/違反報告)
まきす(プロフ) - 雰囲気すごく好きだしこの先どうなるか気になります…。応援してます。頑張ってください！！ (2020年1月28日 0時) (レス) id: ffb43308bb (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - うわ〜予想外の所で正体が！続きが凄く気になります、、更新頑張ってください！ (2020年1月27日 20時) (レス) id: 60683cdb14 (このIDを非表示/違反報告)
ひこばえ(プロフ) - かなさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです；；；マイペースになるかと思いますが更新頑張ります…！！ (2020年1月26日 15時) (レス) id: 5cb8a216c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひこばえ | 作成日時：2020年1月25日 18時
