【カリスマ】凡人の私とカリスマな彼【反応集・短編集】 (ページ9)

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大瀬side

あぁ、そろそろAさんが帰ってくる
何かを作っているよう見せるため無造作に削られた木とどくどくと血が流れている僕の腕…これを見たらAさんはなんて言うんだろう、どんな顔をしてくれるんだろう……。考えるだけで心臓が早くなった。

ガチャりと鍵が開く音がした。あぁ、来る

『ただいま…って、また怪我してるの!?』

目を見開き慌ててかけよってくる。僕の腕を見て小さくうわっと声をもらした。そしてこうなってしまった言い訳(経緯)を話した。

『馬鹿じゃないの!?そんなことより怪我でしょ！ほんとに死んじゃったらどうするの！』

言い訳なんて聞きたくないのか僕の言葉をサラリと流した。救急セットを持ってきて手当を始めるAさんがすごく愛おしいと感じてしまう。

しばらく無言が続いた。無言を破ったのは彼女の方からだった。

『てか、大瀬くんは私を一人残してくつもりなの？』

ドクンと胸が脈打つのをとても感じた。あぁ、この子は僕がいないとダメなのかと、彼女はそんなつもりないのだろうが期待してしまう。
あぁ、ニヤケそうだ

『大瀬くんはもっと自分のこと大切にしてよ…怖いんだよずっと』

確かにとても迷惑をかけていると思う。自分らしくないって自分が1番分かってる。けど、止められない。これしかない、彼女が自分を大切に思っていてくれると感じられる瞬間が、それにこれをすることで僕のこと以外を考えられなくなってくれるんじゃないかって、本当に自己嫌悪を繰り返してこんなのはおかしいって気づいているけど止められない

しばらくして彼女が抱きついてきた。いい匂い、可愛い。

何かAさんが口ごもる。何かと聞いてもなんでもないまた今度と濁されてしまった

とても気になるしそろそろ呆れられてしまったのではないかとハラハラした

『はぁー、まだ怖いし安心しきれないから一緒に寝てね』

抱きつかれたままそう言われるものだから先程の不安も消えた。すごく単純だなと思う、

「このままに死にたい」

小さくこぼれた声は綺麗な彼女には届かなかった。