【文豪ストレイドッグス】元.ポートマフィアの指導者 Part 4

零頁─有島生誕祭─ ページ32

A Side



木漏れ日の淡い光、小鳥の囀(さえず)り、一台の目覚まし時計で私の朝は始ま────




『ん〜、煩いッ！！』




始まらなかった。


布団を囲むようにして置かれた多種多様の目覚まし時計。

優に三十を超えているであろう全てが騒音を奏でていた。


今すぐにでも犯人探しをしたいものだがこの状況ではそういう気になれず、とにかく手当り次第近くにあるものから止めていく。

勿論、一つ一つ気持ちを込めて。




『気持ちのいい朝を迎えさせろ〜！』




少しでも気持ちを抑えるべく、思ったことをそのまま声に出す。


二十年という短い人生。

その中でも上位を争う強い嫌悪感を抱いた瞬間だった。



*



“誰がやったのか”


短いもののとても長く感じられた一分間。

朝一番の壮絶な戦いを終えた私が先ず始めに考えたのがそれだった。


云わずもがな私の家には鍵があり、帰宅と同時に施錠をしている。

しかも十六桁のパスワード制だ。


なのに何故こんなにも目覚まし時計が置いてあるのか。

自分の覚えている限りでは、寝る前にあった目覚まし時計はいつも愛用している一個だけだった筈...




『はぁ...』




久しぶりに感じる無気力感。

ここまで来ると一周回って何も考えたくなくなる。

まだしょぼしょぼする目を擦り、何となく天井を見上げた。




『朝から気分最悪だ...』

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