弐拾漆頁─彼女ニ向カナイ職業 2─ ページ13
「いえいえ。あのまま樋口さんが飛び込んでも、男性一人をボートに乗せるのは難しいと感じましたので」
優しい笑みを浮かべて女性は私と先輩を見つめる。
......今、何か違和感を感じたような?
「それに彼の躰は酷い外傷が目立ちますし、あの状態ではかなり海水を飲んでしまっているかと思います。早く治療室に連れていかないと命に関わりますよ」
「ッ!」
事の重大さを思い出し、私慌ててオールに手を伸ばす。
しかし次の瞬間、私は浮遊感に襲われた。
「ボートの揺れでも傷口がかなり痛みますよ。何事も安静が一番です」
女性は器用に異能力で蔓を操り、私たちを防波堤の上へと乗せる。
宙に浮いている間ボートは一切傾くことなく、見事に平衡を保っていた。
「私が車まで運びます。案内してください」
確かにそうしてもらえると助かるのだが、まだこの女性が何者なのか判らず信用出来ないということも事実。
そんな私の表情を察してか、女性は唐突に異能を解除した。
「...判りました」
蔓がプツンッと糸が切れたように地に倒れる。
「頑張って運んでください。私が来なければ一人で運ぶつもりだったのでしょうし。それに」
私は彼女の機嫌を損ねてしまったらしい。
外套についた汚れを払い、軽く頭を下げてからこちらに背を向ける。
最後に何か付け足したようだったが、其処だけ妙に声が小さく聞き取ることは出来なかった。
ただ、少し俯いた彼女の顔はどこか名残惜しそうに見えた。
そのまま去ろうとする女性の腕を掴もうとするが私の手は虚しく空を切る。
「ま、待ってください!せめて名前をッ!」
「名前、ですか。申し訳ありません、まだ答えていなかったですね。私の名前は────」
弐拾捌頁─彼女ニ向カナイ職業 3─→←弐拾陸頁─彼女ニ向カナイ職業─
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
468人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
煉華☆(プロフ) - 灰神楽さん» コメントありがとうございます!名前変換は全作で出来るようになっているはずですが...。すみませんが、どの話が出来なくなっているか教えていただけると嬉しいです。。 (2018年3月5日 21時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
灰神楽 - いつも、楽しく見させてもらッてます!あの、名前変換ッて出来ないようになッているンですか?なンか出来ないので…。もし、名前変換出来ないようになッているのならすみませン。 (2018年3月5日 21時) (レス) id: 322a09aa57 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 煉華☆さん» 僕も、今日中間テストおわったんですよ!お互い頑張りましょ! (2016年10月13日 18時) (レス) id: e07af3ff72 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 零さん» ありがとうございます!中間テストも終わったのでバンバン更新できると思います!太宰さんですね、ありがとうございましたm(_ _)m (2016年10月13日 17時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 琉百合 羅汝(るゆり らな)さん» ありがとうございます!今日こそは続編に行きます!太宰さんですね、ありがとうございましたm(_ _)m (2016年10月13日 17時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:煉華 | 作成日時:2016年8月14日 20時