ゆづっち 108 ページ8
そして二個目のバケツプリンも綺麗に平らげ
膨れ上がった腹を幸せそうにさする夜卜。
……なんでこんな奴に負けたんだ私は。
目の前でこうも警戒心なさげに
隙だらけの格好のコイツを見ていると
どうしようもなく悔しい。
今だったら絶対勝てる。斬りかかってやりたい。
そんな衝動に駆られるが
今の幸せ満腹状態のコイツと
戦ったって意味がないのだ。
そう自分に言い聞かせ、
会計を済ませるために店員さんを呼ぶ。
「すいません、会計お願いします。
あと、持ち帰り用でプリン4つください」
「あ、はい!」
先ほどの店員さんはまだ食べるつもりか、というような
顔をしたが勿論これは
夜卜のためのものではない。
会計を済ませ、もらった袋にプリンを二つ移し替え
夜卜に差し出す。
「ん。」
「え、なに。もらちゃっていいの!?」
「壱岐さんと雪音の分だ。お前のじゃないから、
隠れて食べたりするなよ」
そう言うとギクッと肩を強張らせた夜卜。
まだ食べるつもりだったのか、こいつ……。
そんなことを思ったが口には出さない。
代わりに「次は倒してやるから、覚悟してろよ」
と宣言しておいた。
店前で夜卜とは別れ、すっかり暗くなった帰路へ着く。
そんなときポケットに入っていた携帯が振動する。
取り出してディスプレイを見るとそこには
実火、と表示されている。
ふと目をやった端末の右端に示されている時間は
19時30分。やばい。
とっくに夕飯の時間は過ぎてるのに
何やってんだ私は。
ほんの一時間の気分転換のつもりが
気づけば家を出てから二時間半近く経っている。
これは確実に叱られる……。
少しでも実火の説教を短くしようと
私は素早くメールの返信をして
走り出した。
屋根を飛び移っていったほうが何倍も速いのに。
そんなことを考える中、見られたらいけないので
おとなしく歩道を走る。
しかし夕飯の時間に間に合うはずがなく、
私は実火から約10分の説教を受ける羽目に。
思ったより説教の時間が短かったのは
お土産に買っておいたプリンのおかげだ。
私の中でのプリンへの好感度がさらに上がった瞬間だった。
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黒猫♪♪ - あの、、、続きは書かないんですか？ (2016年8月7日 13時) (
レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
蝶蘭 - 早く続きが読みたいです！更新待ってます。 (2016年6月28日 0時) (レス) id: ec2100ac58 (このIDを非表示/違反報告)
千差(プロフ) - 獅子王さん» ありがとうございます、これからもいい作品になるよう頑張るので応援お願いします！！ (2016年3月23日 22時) (レス) id: eb938e0fb9 (このIDを非表示/違反報告)
獅子王(プロフ) - いゃ〜、すっっっごく！面白いデス！更新頑張ってください！ (2016年3月23日 11時) (レス) id: cf45032fbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆづっち 千差 | 作成日時：2016年3月6日 16時
