ゆづっち 106 ページ6
私の言葉に少しだけ口角を上げた夜卜は
「じゃあ遠慮なく」
と、木刀を構えなおすと一気に間合いを詰めてくる。
戦いは次第に
静けさに包まれていくようだった。
聞こえてくるのは木刀の交わる音だけ。
そしてその音が不規則なリズムを刻むたび
鼓動は速くなってバクバクと心が震える。
本能が求めていた強い相手との戦い。
木刀から伝わる振動一つ一つが
私の五感と神経を研ぎ澄ましていく。
その感覚に私は確かな高揚感を感じていた。
びゅっと風を切る音がした。
夜卜の手から木刀がまっすぐ私の胸に突き出される。
私は大きく上体を後ろに反らしてそれを避け、
地面に手を着く反動とともに
大きく足を振り上げた。
それと同時、足に夜卜の木刀を引っ掛けた私は
その勢いを弱めることなく思い切り
後ろへ蹴りだす。
古ぼけた木刀はﾊﾞｷｨと不吉な音を立て、
その先端を掴んでいた夜卜は後ろへ吹き飛ばされた。
ﾄﾞｽｯと低い音を立てて夜卜は背中を打ち付けたのか
「痛ぇ!!」
と情けない声を出す。
私はしっかり両足で着地する。
奴の木刀は折れたし、私の勝ちだろう。
そう思い後ろを振り向く。
「……は？」
しかしそこに倒れているはずの夜卜はいなかった。
周りを確認しようとする私だったが
喉元に突き立てられた木刀のささくれと
背後に現れた気配がそれを阻止する。
「オレの勝ちぃ」
夜卜が余裕の笑みで立っていることが
顔を見なくても分かった。
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黒猫♪♪ - あの、、、続きは書かないんですか？ (2016年8月7日 13時) (
レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
蝶蘭 - 早く続きが読みたいです！更新待ってます。 (2016年6月28日 0時) (レス) id: ec2100ac58 (このIDを非表示/違反報告)
千差(プロフ) - 獅子王さん» ありがとうございます、これからもいい作品になるよう頑張るので応援お願いします！！ (2016年3月23日 22時) (レス) id: eb938e0fb9 (このIDを非表示/違反報告)
獅子王(プロフ) - いゃ〜、すっっっごく！面白いデス！更新頑張ってください！ (2016年3月23日 11時) (レス) id: cf45032fbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆづっち 千差 | 作成日時：2016年3月6日 16時
