今世でも私の主食は人間らしいので絶食することにします。〜fifth〜【鬼滅の刃】

198話 ページ17

俺の斬撃を避けるため空中へ逃げる女。
落下しながら、その不気味な羽をユラりとはためかせる。
羽が月光を反射させ淡く光ったその時、

「！？」
((ガガガガッ
俺は咄嗟に両腕を前に突き出して防御の体制を取る。
重たい攻撃、その衝撃に若干後ろへ押された気もする。
女は宙返りをすると少し向こうへ着地した。

…羽が揺らいだと思えば突然。
赤黒い鉱石のような物の雨が降り注いだ。
あの羽からだろうか…
鬼の俺にあんな攻撃効くはずがない、斬撃など体がぶっ飛ばされる物ならまだしも…
あんな鉱石、突き刺さってもすぐに抜けるし回復する。
だけど直感で食らってはいけないと分かった。

両腕を中心に発生させた斬撃の血鎌。
それで思わず防御すれば、思いの外衝撃が…いやかなり重く伝わってくる。
鉱石は斬撃に刻まれるが、斬撃も鉱石と衝突すると消滅して行ってしまう。
いくつか右腕に食らってしまった。

食らった右腕はズシリと重い。
鉱石自体が重いのもあるが、高さ速さも加えられてのあの衝撃だったのだろう
とりあえず抜こうと左手を鉱石へ伸ばせば…

「っ！」
突き刺さった箇所から右腕全体へ広がるように、電流でも流されたように痺れが走った。
急いで鉱石を抜くが、痺れと焼けるような痛みは変わらない。
クソ…何なんだよこれはよォ

女を攻撃するつもりが逆に仕返しされた。
次々繰り出される拳と足を交わしながら、俺は後ろへ下がる形へとなってしまう。
しかもこれ…右腕が…
「動かねぇんだよなあ！ふざけんなよなぁあ！！」
右腕が動かない、痺れも続いているし傷口もなかなか塞がらず血が流れたまま。
藤の毒のように体全ての動きが止まる訳では無いが、厄介極まりない。
毒でないようだから体で分解もされない

何なんだよこの女は！！
血気術だか何だか知らないが、このままでは俺は…負けるだろう……
いや鬼に鬼は殺せないが妹の方の助けに行く事も出来ない。
どうする、隙が見つからない
やっと回復し動くようになった右腕で拳を受け流しながら…俺は焦っていた。



「(クソ…)」
攻撃の仕合いが変わらず続く。
至近距離であの鉱石を飛ばされたら交わせない、遠距離でも一瞬で距離を詰められるから…
警戒に警戒を重ねて少しの予備動作を探っていたが、その後女が鉱石を使う場面は無かった
そして、更に今気がついたのだが…

「(疲弊している？)」
攻撃は速い。…がキレが無くなった気がする
俺の斬撃も余裕を持って交わす感じでは無いし、拳も弾きやすい気が…

.

199話→←197話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す