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24話 ページ26

私が警戒していれば、炭治郎くんが手を握ってきた。
片手で禰豆子ちゃんを抱きしめ、もう一方の手で私を手を包み込む。
…なんで?安心しろってこと?
「…」
炭治郎くんは私に笑った後、視線を前にする。
つられて見ると首の斬られた鬼がこちらに千鳥足で向かってくる。
せめて最後に、この2人だけ殺してやろう的な?
鬼はバタンと直前で倒れた。
もう体が崩れているからだ

残念、お前の手は届かない。
届いたとしても、私が触れさせるわけがない。
鬼となったものは首を斬られて孤独に死んで行く。
いずれ私もそうなるのかもしれない。
消えていく鬼の体を淡々と見つめる…と、

『え』
炭治郎くんはそっと鬼の体に手を添えた。
私の手から離れたと思えば、その手を鬼の体に伸ばしたのだ。
涙を浮かべて鬼の背を撫でる。
ポツリと「悲しい匂い」と呟いた。
私は驚く。
……炭治郎くん、鬼にまで同情してる。
いや私も鬼だけれど私は人を食べてない。
だから彼は私や禰豆子ちゃんを人として扱ってくれる。そう思っていたのに
でも彼は今自分達を殺そうとしてきた鬼の最後を優しく涙を浮かべて見届けようとしているのだ。
それは、そんなの、私ならできない。
自分を殺そうとしてきたやつに同情などできない。
彼は人、鬼に対して関係なく慈悲の心を持っている。

炭治郎くんは優しすぎる。
剣士を警戒した私に「大丈夫」と言うように笑いかけ、鬼の背中を撫でている。
本当に本当に優しい
完全に鬼は消える。
残った着物を炭治郎くんを見つめていた。
すると
「!」
「…人を喰った鬼に情けをかけるな」
鬼の着物の上に先程の剣士。
踏みつけにしながら真っ直ぐ炭治郎くんを見下ろす。

「子供の姿をしていても関係ない。何十年と生きている醜い化け物だ。」
「殺された人達の無念を晴らすため…これ以上被害を出さないため…もちろん俺は容赦なく鬼の首に刃を振るいます。」
着物を握る炭治郎くん。
「だけど、鬼であることを苦しみ…自らの行いを悔いているものを踏みつけにはしない!」

私は静かに二人の様子を眺めた。
「鬼は人間だったんだから!…俺と同じ人間だったんだから」
……人間、だったから…
『…』
確かにそうだけれど、そんな思いを胸にいつも鬼を狩りに行っていたの…?
私はとてつもなく不安になった。
いつか炭治郎くんの優しい気持ちが重荷になって、彼は潰れてしまうのではないか。
鬼の悲しみを自分の鬼に対しての怒りと共に背負って…どうしてそこまで優しくなれるのだろう

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まどろみ(プロフ) - 猫宮さん» ありがとうございます!! (2019年11月24日 17時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
猫宮 - こーいう作品大好き!かまぼこ隊も大好き!最高! (2019年11月14日 17時) (レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - kori1224さん» ありがとうございます!ゆっくりですが毎日更新目指しますね! (2019年9月28日 8時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)
kori1224(プロフ) - こう言う作品好きです!更新頑張ってください!!! (2019年9月25日 22時) (レス) id: 6a27cb7555 (このIDを非表示/違反報告)
まどろみ(プロフ) - あんこさん» ありがとうございます!その言葉だけで更新頑張れます! (2019年9月9日 15時) (レス) id: ec3dea80f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まどろみ | 作成日時:2019年8月29日 21時

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