画面越しの気持ち。

episode11 ページ11

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「…俺ね、右耳と左耳で聴力に差があるから、電車とかだとバランスがとれないの。


すぐふらついちゃうから座ってるんだけど…そんなの、他の人からしたら関係ないもんね」









それなら立った時に少しふらついたのも納得がいく。








ぐす、と鼻をすする君は、もしかしたら今までにもこういった経験があるのかもしれない。








今日までとはいかなくても嫌な目で見られたことはきっとあるのだろう。








慰めたいけど、何も知らない俺が何か言ったところでまた傷付けてしまうのではないか。








これ以上傷付けてしまうのが怖くて何も言えず、ただ背中を摩ることしか出来ない無力さが嫌になる。









「…ごめんね、話しすぎちゃったね。時間大丈夫？」







「俺は一人暮らしなんで。有岡くんは？」








「兄と2人で…ってそうだ、兄ちゃんに連絡してない…心配してるかも…」









途端に青ざめて携帯を取り出し、たまった通知に頭を抱えた。









「お兄さん、怖いんですか？」








「ううん、逆。すっごい心配性だから、今頃探し回ってるかも…」









しばらく携帯を操作してから、ふぅっと息を吐き顔を上げた。









「車で迎えに来てくれるみたい」








「それはよかったです」









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