狂犬と飼い主【相良猛】

蜀犬日に吠ゆ ページ35

:




「はあぁぁぁー…」





あれから毎日毎日、数十回はため息をついてる。




三橋や伊藤くん、京子ちゃん
開久高校の人達と智司くんにも心配されてしまった

だけど私が1番心配して欲しいのは相良くんだった。





「それで、どうなの」



「どうなのって何が」




いきなり理子にそう聞かれて
私の頭は？となっている





「相良くんの事に決まってるでしょ！」




「別に何もないよ、友達だもん」





なんか"友達"って言葉にちょっと
違和感はあるけどね、って言ったら

理子の大きな瞳に見つめられた。





「それって友達以上になりたいって事よ！」




「そうなの？」




「そうに決まってるじゃない！
彼の話をするAってば凄い嬉しそうだもの！」





そっか、相良くんの事好きだったんだ

なんか妙に納得出来てしまって

照れはしないけどドキドキするものがあった。





ーーー






まだ辛うじて続けている
バイト先へ今1番会いたい人がやって来た。





「…来ないって言ってたじゃん。」



「いいから早く席に案内しろよ」





全く気まずくない訳じゃないけど
久々に会えた嬉しさが勝って
今の私にはこれが心地良いのかもしれない



相良くん、凄くやつれてる。

そんなわけないと思ってたんだけど
本当に智司くんが言ってた通りだ


あのなんか若干ほっぺが
腫れてるんだけど喧嘩したのかな









「…何時に終わるんだよ」



「9時かなぁ、なんで？」



「なんもねぇよ」




席まで案内して、おしぼりやメニュー表を
テーブルに置いている時にそう聞かれ
そして直ぐにオレンジジュースを頼まれた


相良くんいつもそんなの飲まないじゃん



きっと飲み物なんてなんでもよくて
私の為にここに来てくれたのかなって
ちょっと期待してみる。

一犬虚に吠え万犬これに和す→←犬兎の争い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す