狂犬と飼い主【相良猛】

熱湯で火傷した犬は、冷たい水からも逃げる ページ28

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…チッ、完全に油断していた


いつものソファで仮眠でも取ろうと
してたらいつの間にかこんな所にいてよぉ

しかもうるせぇ軟高の女まで一緒だ



カバンを足で手繰り寄せたからなんだよ
喧嘩の時カバンで殴ったりすんだから
問題ねえだろうが





とりあえずこの女のカバンから
カッターを取りだして、自分の手首を
結ぶロープに切り込みを入れてあとは引きちぎった



ロープは無くなり俺は立ち上がって
身体を伸ばしながらこの後どうすっか考えた



この女はどうでもいいな
うるせぇ上に軟高だ、余計構う必要がねぇ





「…なんだよ」




「…」





何も言わねえくせにただ俺を見てくる
カッター貸したのに自分だけ
逃げようとしてる？って言ってるみてぇに





「…チッ」




「え待って私の事殺すのはあとだって言」




「違ぇよ」




俺がカッターをしっかり持ち直し
女に近づくと女は焦って後退りをする

本気でビビってんのかイマイチ
危機感の感じられねぇ女だな






「おら」



「良かったーマジで殺されると思った」





チッ、まじで1回刺してやろうかこのアマ


なんでこんな女のロープを
カッターで切ってやってんだ俺は…ったく





「ここから逃げんぞ、
相手がどんな奴なのかも何人かもわかんねぇ
てめーは絶対敵に捕まんなよ」




「…わかった！」

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