狂犬と飼い主【相良猛】

家の飼い犬同士の喧嘩によその犬は加わるな ページ25

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灰色の制服軍団はみんな居なくなって
いつも通りの店がなんだかすっからかんに見える




「よく開久の連中なんかと絡めるね」




「お友達なんですよアハハ
今度から大人数で来ないよう言っときますね」



私まで店長をビビらせてしまった
私はそんなボコボコとかしないからね！？





.




.







仕事が終わった9時頃、夏だし駅前ってことも
あって明るいけどやっぱり少し怖い



きっと理子や京子ちゃんなら
三橋とか伊藤くんが迎えに来てくれるんだけど
私の場合来てくれてもせいぜい親くらいで
いつも虚しく一人で帰っている。



もちろん何もない訳もなく
この前はぶつかられた上に怒られたけど
目の前で勝手にチャリに撥ねられてたから帰った








突然







「待てやコラァ！！！！」





私の目の前を走るのは
スカジャンを着る男の人と灰色の制服数人
こっちには気づかないほど全力で走ってた


あの灰色は確実に開久高校だ。
でもなんでこんな所をあんなに走ってるんだ？

…そういや栃木のなんたかがって







「え！？まだなんかやってたの！？」



智司くんが来てくれたのが6時過ぎくらいだから
かれこれ3時間くらい経っているんじゃ…









「Aさん！ここは危ないっす！」



「うわぁびっくりした」




彼らが過ぎ去って行ったあとに
また開久の人が走ってきたが私の方に
気づいてこっちに駆け寄ってきてくれた





「何かあったの？」



「それが相良さんから口止めされてて言えな」









そう言った瞬間








目の前から開久の人は消えた、鈍い音と共に。









「お前が狂犬の飼い主ねぇ…」



この人をやった犯人が暗闇からどことなく
出てきて、私は思わず少し距離を取る


暗くてよく見えないが
幸い、パイプや角材なんかは持ってなさそう
だから拳で殴られたんだと思う




前に別の開久の男の子が言ってた通り、
私が狂犬の飼い主っていう別名で
不良界隈に知れ渡っているんだ





「俺の事知らない？富田っていうんだけど」



「…いや、知らない。どこかで会ったことある？」



「ううん、会ったことは無いんだけど」

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