狂犬と飼い主3【相良猛】

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ゆっくり振り返ったナンパ男の
顔面に1発入れりゃ呆気なく倒れて




「ひっ…！」




そう声をあげるもう1人の野郎も
すかさずぶん殴ってやった






「はぁー…」





雑魚すぎて話になんねぇ
ちょっと女より力があるからって
ダセェことしやがってよ



二度とナンパなんかしねぇように
ちゃんと教えてやんねぇとな



ため息の後、最初に倒れた奴の
胸ぐらを掴みゆっくり持ち上げた









…さっきから近くにずっと女の気配がする

今までの女はビビってすぐ逃げてったが
何故かずっとつったっていやがる





「逃げねぇなら、目ェ瞑って耳塞いでろ」





邪魔くせぇはずなのに
俺の口からはそんな言葉が出てた




返事もねぇし女の方は見てねぇから
従ってるかは知らねぇけど
数秒待ってやった後シメるのを再開した






.






それからずっとドカッ！だのバキッ！だの
俺が野郎共をボコボコにする音だけが鳴っていて
辺りは静かだからそれはそれは響く



ここまでやる義理なんかねぇが
俺は必要以上に殴る蹴るを繰り返していた



いよいよぐったりしちまって
少しやりすぎた、なんてあんま思ってねぇけど





「二度と女相手にイキがんなよ」





俺はもう既に意識のねぇコイツらに
しゃがんで見下ろすように言ってやった



そして立ち上がって帰ろうとしたが
まだ女の気配があって
何してんだと思いながら近づけば






「た〜ばこ〜のに〜おいの〜しゃ〜つに〜♪」



「…」



「そっと〜よりそうから〜♪」






耳塞いでなんか歌ってやがる


正直あんまり上手くねぇし
よくこんな状況でノリノリに歌えんな
神経イカレてやがんのか？



それにしても聞いたことある声だな
女の声ってこんなもんか






「な〜ぜ〜し〜りあ〜ったひ〜から
は〜んと〜しすぎても〜♪」






「オイ」





「あなた〜って〜てもにぎらない〜♪
あいうぃるふぉ〜ろ｢オイ｣






女の両手首を掴んで耳から離してやった

このままだったら終わったこと知らなくて
ずっと歌い続けるような気がしたからな





「っ！…わぁ！はい！ 」





急に手を取られた女はビックリし
変に高ぇ声で返事をした




それと同時に目がバッチリと合った




この女、丸山Aじゃねぇか




声だって顔だって全然Aなのに
なんで気が付かなかったんだ

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