狂犬と飼い主3【相良猛】 (ページ2)

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「…！」

誰かの後ろ姿が一瞬映ったあと
何かに引っ張られるように意識が戻って
随分と気分の悪い目覚めだった

白い天井と蛍光灯…あぁ、ココ病院か

目を薄くしか開けていなく視界が悪くてもここが
どこなのかを認識するのには時間がかからなかった

寝起きでぼんやりとした意識のまま
ぐぐぐ、と頭を左に向ければ
私の顔を覗き込む金髪と目がバッチリ合った

…数秒の沈黙後、

「A！！！！！！」

金髪の人は目を見開き、私の名前を
鼓膜が破れるくらいでかい声で呼んだから

おかげで完全に目が覚めて
ちょっと考えられるようになった…が。

「…？」

私はこんな人知らない。

「ぇ、Aちゃん…？」

私も色々と困惑し返事が出来ず
金髪の人は心配そうな顔で私を見つめ続ける

そんな彼のことを上から下まで見てみた。
学ランからするに同じ軟高の生徒で
金髪が許されているということは多分3年生だ

なんで軟高のツッパリであろう先輩が
私の名前を親しいかのように呼んでいるのだろう

私の友達と親しく、そこから繋がりが出来たか
はたまた私が目をつけられていたからか

よく分からないけれどなんだか悪い予感が
するから下手に出ない方がいい気がする

「…あ、えっと、ど、どうも…？」

「？」

「あ、コンニチハ…？」

私がそういえば何故か顔を険しくし
伊藤を呼んでくる、とだけ残して
先輩は部屋を出て行ってしまった

正直、なんだか会話が噛み合っていなかった

病室に残され1人考えてみる
そもそもなんで私はベッドの上にいるのか

順を追って思い出してみよう。
上半身を起こすと、どこぞの輩のせいで
ガンガンと痛めつけらた頭がさらに痛くなった

「なんだかAの様子が変なんだよ！」

「ど、どういうことだよ」

(あれ、もう戻ってきた…)

まだ30秒くらいしか経っていないのに
ドタドタと足音が聞こえてきて
半開きのドアからさっき見たうるさい金髪と

…なんか、トンガリ頭の人が入ってきた

「パッと見どこもおかしくねぇけど」

「バカ！話してみろ！」

金髪の人に促され、"伊藤"と思われる先輩は
不思議そうな表情をしながら視線を私の方に向けた