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「大毅！次あれ！」
「待って…ちょ、ほんま、」
「あれもっかい！」
「また？！お前俺のこと気絶させたいんか？！」
乗り物が大好きな私、
乗り物が得意じゃない大毅。
でも私が乗りたいって言うと絶対にいいよって言ってくれるから、分かっててもやっぱり甘えてしまう。
「A、悲しいお知らせや」
「え？」
「もう7時過ぎてる」
ケータイの時刻を私に見せながら、いたずらっぽく笑う大毅。
「うそぉ！！私、門限7時なのに！！」
「はいはい、帰りましょうね〜」
とりあえずお母さんには電車が遅れてると嘘をついて、
急ぐこともなく、いつも通り大毅と喋って笑って
地元に着いても、公園でずっと話してた。
時計はもう9時を超えてて。
どうってことないことばかり話してるのが
落ち着いたの。
ちょっとおしゃれして履いてきたヒールも
さっきまでクタクタだったけど、
大毅の声を聞いてると、疲れも吹っ飛んでく。
ついさっき大毅が買ってきてくれたミックスオレももう空になった。
「よしっ、帰るか！」
立ち上がる大毅のシャツの裾を掴む。
流石にもう、帰らなきゃいけないことくらい分かってる。
俯いてても分かるくらい、大毅が困ってるし
大毅だって、帰りたいはず。
なのに、
「……帰りたくない」
なんて言っちゃって。
大毅は私と同じ目線でしゃがんでくれて、
俯く私の顔を覗き込んで、
目が合うと、笑ってくれた。
「そない切ない顔すんなよ！ほら笑え笑え！」
「……ん」
そんなこと言う大毅も泣きそうな顔するから
私も泣きそうになって、堪えながら
ぐいって人差し指で大毅の口の端を上げる。
「いったぁ！おい！笑」
「大毅も、悲しい顔してた」
「…そりゃだって、」
「笑え笑え！」
「真似すんな！」
ほら、帰ろ。
大毅が、手を差し出す。
ぎゅって私が繋ぐと、ん、って笑って
街灯の照らされた住宅街を、
ゆっくりゆっくり、二人の時間を紡ぎながら
夜道を歩いた。
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作者名：のらら | 作成日時：2018年8月9日 0時
