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「……ということなんやけど」
「なーるほど」
大毅と過ごす最後の夏かもしれないから
遊園地に行こう、と誘った。
誘うのは得意じゃない、誘われる方が多いから。
でも、さっちんがくれたチャンスも
この夏も、逃してしまえば後悔すると思って
勇気を振り絞って誘った。
案の定、暇人な彼は、行く行く！！と嬉しそうにしていた。
「にしても暑いね〜」
「暑すぎ、水族館とかの方が良かったんちゃう？」
「そっちがよかったの？」
「いや、お前がしんどくないかなって。俺は男やし、そんなん大丈夫やけどさ」
お前は女の子やろ、
って、頭に手を置かれた。
意外と気を使ってくれてる大毅に少しだけ胸が、
じーんとなった。
いつでもそうだった。
大毅は私をいつも女の子扱いしてくれて、
かと言って気を使いすぎるわけでもなくて。
私を、分かってくれてる。
「よし、行こっ」
繋がれた手は、きっと
大毅にとってこの夏が最後だから、
ただそれだけだから、
繋いでいるだけだ。
「大毅、あれ乗ろう」
「ん？……げっ！90分待ちやんけ！」
「どれも同じぐらい待たなきゃいけないよ」
「んん……わかった、並んでる間はジャンケンでもするか！」
「ジャンケン？笑、あっち向いてホイは？」
大毅は私を、退屈させない。
私の顔を、曇らせない。
必死に、笑かそうとしてくれる。
そのときの大毅の顔は
誰よりも眩しいの。
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作者名：のらら | 作成日時：2018年8月9日 0時
