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それからの帰り道は、二人とも終始無言で、
気まづいまま私の家に着いた。
「今日はごめんな、その…色々と」
「あ、うん、」
玄関の柵を、開けてドアの前まで来る。
大毅も私の後ろまで着いてきて
いつもみたいに、な。と今までみたいに
また明日、と手を振った。
待って、と咄嗟に手首を掴んだ。
私らしくない、こんなの。
でも知りたかったの、大毅が何しにここへ来たのか。
私のいる、過去に来たのか。
「大毅は、何しに来たの、？」
「え、」
「60年前の、過去に」
「んー……」
ぽりぽり、どこか恥ずかしそうに頭をかいて
笑窪を浮かべながら笑った。
「いつか、分かるよ」
分かんないよ、と言うと、分かるから！と
言い聞かせるように言われた。
「分かった、また明日ね」
「ん、また明日」
よう寝ろよ、
そう言う大毅の背中。
見慣れたはずなのに、今日は違う大毅を見てるようで、すこし悲しくなった。
:
:
「A、ねぇってば」
「…ん？はいはい」
「はいはいじゃないよ、さっきから呼んでんのに」
「ごめーん笑」
夏期講習も終わって、それからの夏休みは、
さっちんと由美といるのが多くなって
大毅とは電話する程度になった。
確実に迫ってくる大毅との別れの日を
日付を見る度、寂しさが募る。
目を伏せたくなる。
宿題も、なかなか捗らない。
最近、眠れない。
食欲もないからか、体重も減る一方。
顔はやつれて来てるし。
「ねえ、遊園地行こ？」
「えーやだ、私乗り物乗れない」
「なんでー、Aは？」
「宿題やらなきゃ。さっちん一人で行きなよ笑」
「いーやーだ！」
せっかくチケットあるのに。と口をとんがらせるさっちん。
どうやら、お母さんに貰ったらしく
一枚で3人まで行けるらしい。
「最近ね、重岡くんと連絡交換したの！
だから、重岡くんと行こうかな…」
勿体ないし……と少し顔を赤らめて
携帯の電話帳を開こうとするさっちんの手を掴んだ。
「だめ！！」
「…ど、どしたの」
「A？」
「あ…ごめん」
やっぱやめる！と急に言い出したさっちんは
チケットを私に無理矢理握らせた。
「重岡くんと行ってきな！」
「でも、さっちんが」
「よく考えると受験生だし。
それに大親友の重岡くんと過ごす夏休み、最後だよ？」
行ってきな、そう言ったさっちんの顔は
すごく優しかった。
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作者名：のらら | 作成日時：2018年8月9日 0時
