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高校を卒業したあと、大学へ通いその後就職。と
ごく普通の人生を歩んでいた私を、
この日、変えたんだと思う。
「A？」
再会は、突然だった。
いつも通り、定時で上がって
会社を出た所で声を掛けられた。
「……藤井？」
「そうそう！え、ほんま久しぶり！」
高校の同級生とはたまに会う。
しかし、藤井とはほんとに久しぶりで。
全く変わらない面影を見て、高校時代に戻ったかの様だった。
「いやー、卒業以来やもんな」
「そうやね、まさか会社一緒やのに会わんかったってな笑」
「ほんまや！部署違うってのは分かるけど」
「な！あ、さっちんとか由美げんき？」
「さっちん結婚したの！由美はね〜」
偶然にも藤井とは就職先が同じで、
今まで気づかなかっただけだったらしい。
変わっていなくても、やっぱり大人になっている藤井を見て何故か緊張した。
それからも、プライベートで二人きりでちょくちょく会って、高校の時のように距離を戻してった。
いつの間にか、私の中で
高校の時の仲良しが、異性として変わっていったのも確か。
藤井に少し惹かれている自分がいた。
「あ、あのさ高校の時に、多分同じクラスやと思うんやけどこんな子おらんかった？」
夢で見る彼の後ろ姿を、得意の絵で説明する。
でも、藤井には分からないみたいで
「後ろ姿って笑」
「何回も夢に出てくるねん、こうやって。」
「でも分からん、こんなやつ。」
「アルバム見ても、友達に聞いても分かんなくて。なんかモヤモヤするの」
「そっか……」
その日は、普通に藤井と別れた。
家に帰ると、何故かもやもやが増えた気がして、お酒をたくさん飲んだはずなのに、ビールを手に取った。
最近吸わなくなった煙草も、
今日は吸いたくなった。
「まっず」
思わず顔を歪めた。
美味しくない。
「ニコチン依存性、脱却かぁ…」
灰を落とし、ふぅっと息を吐いた。
少し吹いた風邪が、夏の匂いを連れてきた来た気がした。
ふとカレンダーを見ると、もう夏と言っていい月に差し掛かっていた。
何故か、胸がざわざわする。
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作者名：のらら | 作成日時：2018年8月9日 0時
